14nm採用のStratix 10の出荷はスケジュールどおり

そんな同社の最新のハイエンドFPGA製品となるのが「Stratix 10」だ。2013年に開発がアナウンスされたIntelの14nmプロセスを採用したFPGAおよびSoC製品で、現在、テープアウトを完了し、スケジュールどおり2016年第4四半期中に出荷が開始される見通しだという。また、同四半期には、Alteraの開発ソフトウェア「Quartus Prime」の最新版となる「v16.1」の提供が開始される予定であるが、「このタイミングあたりから、AlteraのFPGAではなく、『Intel FPGA』としてブランディングが本格的に進められることになる」とのことで、「Altera」という名前は表舞台から徐々にフェードアウトしていくことになる模様だ。ただし、「Stratix」、「Arria」、「Cyclone」、そして「MAX」といった各種の製品ブランドに関してはそのまま残ることとなる。

また、Intelとの統合により進められているXeonとFPGAの統合製品だが、現在、Broadwell(開発コード名)のXeonとArria 10 GXをマルチチップパッケージ(MCP)とした製品がサンプル提供されており、こちらについてはStratix 10との統合プランもあるとするが、「長期的にコミットしている話で、いつ出すかはまだ言えない」とのことであり、その代わりにサーバアーキテクチャとしては最新世代となるSkylake(開発コード名)とArria 10を統合したMCP製品が2016年末に出荷される予定だという。また、CPU+FPGAとしては、MCPのみならず、オンダイ(モノリシック)の構想もあるとするが、CPU側は必ずしもx86にこだわらず、ARMコアも候補としていくとしている。

次世代製品の開発コード名を変更

そして気になるのは、次世代製品がどうなるかである。Alteraは2015年11月に「Altera Sequoia」、「Altera Oak」、「Altera Cedar」の3つの開発コード名で、それぞれIntel 10nm、Intel 14nm、TSMCのプロセスを用いた製品の開発を行っていることを明らかにしていたが、今回、ハイエンドとミドルレンジはIntelの10nmプロセスを採用した「Falcon Mesa(HE)」および「Falcon Mesa(MR)」(HEはHighEnd、MRはMiddleRangeの略)と、同22nmプロセスを採用した「Harrisville」へとコードネームそのものが大きく変更された。ただし位置づけとしては、HarrisvilleがIIoTや自動車、スモールセルの無線基地局、Falcon Mesa(MR)が4.5/5Gの無線通信や4K/8Kブロードキャスト、IIoT、自動車、そしてFalcon Mesa(HE)がクラウド/アクセラレーション、テラビットシステムなどと、旧開発コード名の時代から変更はない。同氏は具体的なローンチタイミングなどはまだ言えないとはしているが、22nmプロセスはともかく、10nmプロセスについては、発表されたばかりのKabylake(開発コード名)の次の世代であるCannonlakeで採用が予定されているが、そうしたスケジュールを鑑みるに、数年先の出荷、ということになりそうだ。

次世代FPGA/SoC FPGAのロードマップ。2015年11月に公開したものと、開発コード名とプロセスの見直しが図られたが、その位置づけそのものに変更はない。ちなみにMAX 10の次世代品については、「MAX 10は5~10年ほど活用してもらうことを想定しており、現時点では次世代品の構想はない」とのことであった

とはいえ、「Intel自身が現在、劇的に変化している。特にフレームワークを作ることに注力しており、ソフトウェアのプログラマが先端アプリケーションを開発するうえで、省電力性といったFPGAのアドバンテージを、FPGAの複雑性を感じさせないで利用してもらうことを目指している」とのことで、単に先端のプロセスを活用したハイパフォーマンスなハードウェアを提供するのではなく、開発ツールもQuartus Primeよりも、さらに高位言語などを用いたデザインを可能とするものなどを開発することで、開発容易性という部分まで含めて提供を図っていくとしており、今後、そうした周辺環境まで含めて、Intelが培ってきた半導体技術なども活用して整えていくことで、開発を加速し、広がるカスタマからの要求に応えていくFPGAとして存在感を増して行きたいとしていた。

ハード、ソフト問わず、幅広いエンジニアにFPGAを活用してもらいたい、という想いはAlteraがかなり以前から語ってきており、その意思はIntelに買収された現在も継続している。むしろ、Intelのユーザーの多くがソフトエンジニアであることを考えると、Alteraが示していた方向にFPGAが、より近づきやすい環境になったと言えるだろう