オランダのWi-Fi通信向けSoC IPプロバイダであるMethods2Businessは、ベルギーimecおよびオランダHolst Centreと共同で、市販されている直交周波数分割多重(orthogonal frequency division multiplexing:OFDM)方式無線システムよりも消費電力が1/10ほど少ないWi-Fi HaLow無線システムを発表した。最新のワイヤレス・ネットワーキング・プロトコルIEEE802.11ahに準拠し、モノのインターネット(IoT)に幅広く活用されることを狙っている。

このWi-Fi HaLow無線システムには、Methods2Business のメディア・アクセス・コントローラ(MAC)のハ―ドウェア・ソフトウェアIPとimec/Holst Centreのサブ1GHz IEEE802.11ah準拠トランシーバを集積している。なお、Methods2Businessは元Philips ASIC設計エンジニア(後にNXP Semiconductorsシステム設計マネージャー)が2010年に起業した、オランダ・アイントホフェンに本拠を置くベンチャーで、SoC設計はセルビア国内の同社設計センターで行っている。

Wi-Fi HaLow無線システムボード (出所:imec/Holst Centre/Methods2Business)

低消費電力ながら数千の機器接続が可能なWi-Fi HaLow

Wi-Fiの規格化団体であるWi-Fi Allianceは、「Wi-Fi HaLow」という名の新しい通信規格を2016年1月に発表した。従来よりも少ない消費電力で、ワイヤレスデバイスの通信距離をおよそ2倍に延ばせ、1つのアクセスポイントに数千の機器が接続できるなど、利用効率が高いため、スマートホーム、ウェアラブル機器はじめ、さまざまなセンサネットワークなど、IoT分野を狙った新たなWi-Fi規格として近い将来の普及が期待されている。この規格を採用した機器が市場に登場するのは数年先と言われている。

常時電源ON状態の直観的IoT向けに最適

imec/Holst Centreは、小型/低消費電力、低コストでインテリジェントなセンサと無線チップ、へテロジニアス・センサネットワークで構成された直観的IoT(Intuitive Internet of Things)の実用化に注力している。直観的IoTは常時、オン状態のセンサネットワークが環境に溶け込んで人々を優しく包み、誰も指示をせずにその存在を意識さえしないのに、人々が何を欲しているか、どんな環境下にあるかを理解し、人手を経ずに自動的に何らかの処理を行う。つまり、とても控えめな方法で人々とその周辺環境を見守り、快適で安全、健康で持続可能な環境を提供し、人々を支援してくれるシステムだが、この目的に沿った形で今回発表した消費電力Wi-Fi HaLow無線システムをMethod2Businessと共同開発した。imecは、直観的IoT実用化のために、世界中の多数の企業と協業して、選択技術を迅速に取り込む、 早期実用化を目指している。