半導体研究機関のベルギーimecおよび姉妹研究機関である蘭Holst Centreは、ベルギー/フランスのデザインハウスであるBarco Silexと、ウェアラブル製品およびIoTセンサネットワーク向けデータセキュリティで協業する契約を結んだと発表した。これら3社は、imec/Holst Centreが中心に開発中の直観的IoT(Intuitive IoT、図1)のデータセキュリティを確保してさらに高度化させ広く普及させることを狙っている。

図1 直観的(Intuitive)IoTネットワークのイメージ図。空気汚染センサネットワークの例 (出所:imec)

ライフスタイルや健康モニタリングのためのスマートウェアラブル器具など個人向けIoTアプリケーション・ツールが急速に普及している。imec/Holst Centreが開発している直観的IoTは日常生活をサポートするために、センサを気づかれぬようにあらゆる場所に埋め込んで、あらゆるパラメータを計測し、スマートな判断をすることを目指したもので、至るところで生み出されるデータのセキュリティ性や信頼度が鍵を握ることとなる。

現在、IoTのセキュリティは、1つのアプリケーションドメインまたはネットワーク内の通信のために設計されていることが大半であり、より高いレベルのセキュリティを実現するためには、へテロジニアスなIoTネットワークにおけるエンドツーエンドのセキュリティに関する新たな概念が必要とされている。

今回の3社連合は、imec/Holst Centreが培って来た技術や回路設計に関する専門知識と、Barco SilexのセキュリティIPポートフォリオを組み合わせることで、安全な超低消費電力センサに向けた新たなチップアーキテクチャの開発、ならびに安全で信頼性の高いへテロジニアスIoTの実現に向けた新たなセキュリティの概念の確立を目指すものとなるという。

具体的には、Barco Silexは、自社の暗号IPブロックを含む組み込みセキュリティ・ソリューションをimec/holst Centreが開発したウェアラブル向けマルチセンサIC(図2)やIoTのためのデモンストレータプラットフォームに適用する。

図2 imec/Holst Centreが共同開発したウェアラブル用マルチセンサIC。これにセンサセキュリティを組み込む (出所:imec)

なおimecでは、セキュア機能を搭載してもセンサの全体的なコストと電力消費を最小化できるプロセッサやメモリのアーキテクチャを開発していくほか、セキュアな通信が、へテロジニアスIoTネットワークのスル―プット、応答時間やその他の性能面へどのような影響をおよぼすのかについての検討も行っていく予定だという。