アプリ間の連携強化で、使うべきアプリを迷わない

「Adobe Capture CC」では、編集モードの「プリセット」に「筆圧」という項目が用意され、自作ブラシのApple Pencilでの描画のされ方を調整できる

そして、写真などを素材としてブラシやシェイプを作成できるツール「Adobe Capture CC」が紹介された。このアプリが「Apple Pencil対応」としているのは、試し描きしながらブラシを作成できる機能だ。編集モードの「プリセット」には、「筆圧」によってサイズやインク量を調整できる項目が用意されており、Apple Pencilの筆圧によってブラシをどのように描画できるかを設定できるようになっている。

「Adobe Illustrator Draw」はカッチリとした描画に向いたベクタードローイングツール

「Adobe Photoshop Lightroom for iPad」で開いた画像に対し、右上端のアイコンから「Adobe Photoshop Fix」で編集することも可能

このほか、ベクターグラフィックツール「Adobe Illustrator Draw」では、描画した線にスムージング(細かなブレなどの補正)が掛かるので、ロゴ制作やキャラクターデザインなどのカッチリとした描画に向いていると紹介。Adobe Photoshop Sketchと同じように下絵を読み込んでトレースしたり、PSDファイルを読み込んだりと、完パケに近い状態まで作り込めるということだ。

また、Apple Pencil対応リストには載っていないが「Adobe Photoshop Lightroom for iPad」の右上端のアイコンから「次のツールで編集」を選ぶと、「Adobe Photoshop Fix」で画像および顔の造作を変換したり、不必要なオブジェクトを除去したりが可能であることも紹介された。例えば、Adobe Photoshop Fixが自動的に検知した顔立ちを修正したり、膨らみや渦巻きといった歪みを適用したりしたのち、再びLightroomに戻って作業するといったことが、煩わしさを感じることなく行える。このような連携がさまざまなアプリ間に実装されているので、「どのアプリを使うんだっけ?」と悩まなくて済むということだ。なお、こうした連携はすべてのアプリが一斉に対応したわけではなく、アップデートごとに少しずつ対応が進んでいるということだ。

Apple Pencilのエンドキャップを外すと、Lightningコネクタが現れる。なお少し長めになっているので、iPad Proにシリコンケースを装着している場合でもそのまま利用可能だ

Apple Pencilのバッテリーが切れたら、iPad ProのLightningコネクタに15秒間挿すだけで、30分間利用できる

なお、今回のデモ中に一度、Apple Pencilがバッテリー切れとなり中断を余儀なくされたが、Apple Pencilはわずか15秒間充電するだけで30分間利用できるという高速充電に対応している(フル充電した場合は12時間利用可能)ため、ほとんど待ち時間なしでデモが再開された。

充電方法は、ペン先とは反対側のエンドキャップを外してiPad ProのLightningコネクタに直接挿すだけ。キャップはマグネット式となっている。このようなあっと驚かされる設計は、"アップルらしい"と言えるだろう。

iOSとWin OSに「差を付けることなく投資」

アドビは昨年より、マイクロソフトの2 in 1デバイス「Surface Pro」でのタッチ操作とペン入力に最適化された、Photoshop CCとIllustrator CCをリリースしている。iPad Pro+Apple Pencilと同様に専用スタイラスによる筆圧感知に対応しているなど、今後アドビはどちらに力を入れていくのかが気になるところだ。

仲尾氏は「Surface Proはクリエイティブ用途ではデスクトップ用のWindows OSがメイン、一方のiPad Proはモバイル用のiOSであって、両者はまったく別モノです。アドビはクリエイターを主体とした企業ですので、MicrosoftさんがSurface Proを販売し、クリエイターがそれを使っているならば、当然デスクトップ版のPhotoshopやIllustratorもモバイル対応させる必要があります。今後もWindows用、iOS用ともに差を付けることなく投資し、Surface Pro、iPad Pro+Apple Pencilのそれぞれの良さを最大限に引き出していきます」と語り、デモを締めくくった。

なお、iPad Pro+Apple Pencilに正式対応をアナウンスしているアドビ製モバイルアプリは、「Adobe Photoshop Fix」、「Adobe Photoshop Mix」、「Adobe Comp CC」、「Adobe Photoshop Sketch」、「Adobe Capture CC」、「Adobe Illustrator Draw」の6つのアプリ。それぞれ、iPad Proの12.9インチディスプレイに最適化されているほか、ドローイング系のアプリについてはApple Pencilの「筆圧」や「傾き」など機能にも対応している。それぞれの詳細については、App Storeの「アップデート履歴」にて参照できる。

iPad Proと現行モデルのMacBook(12インチモデル)のサイズを比較。iPad Proのほうがひとまわり大きい