半導体市場調査会社の米IC Insightsは9月3日(現地時間)、2015年の上半期の実績を踏まえた通年の世界半導体IC売上高の地域(大陸)別、応用分野(用途)別シェアの予測値を発表した。これによると日本を除くアジア・太平洋地域(台湾・韓国・中国など)でのIC売り上げが世界IC売上総額の58.9%を占めると予測している。これは2014年に比べて0.5ポイント増加した値となっている。

日本のシェアはわずか7.8%で、欧州の10.4%にも及ばない。米国は22.9%と、アジアに大差をつけられているとはいえ2番目に大きな市場となっている。

著者注:シリコンバレーの多くの半導体企業にとって総売上に占める日本市場の売り上げは、数年前までは10%を越えていたが、いまでは多くに企業で1桁に低下しており、今回の予測はそれを裏付けている結果となっている。日本市場の存在感は無くなりつつあり、日本法人は地位低下をきたしており、かつて世界半導体生産額の5割を超えたこともある日本での生産額も今や1桁へと低下してきており歯止めがかからないのが現状だ

応用分野別では、スマートフォンに代表される通信用ICが、世界売上総額の38.3%、コンピュータ用が35.6%とこの2分野だけで世界売上総額の3/4を占める。次いで、コンシューマエレクトロニクス(家電)用が11.3%、自動車用が7.3%と続く。日本では、今後の車載半導体市場に対する期待感が大きいが、世界車載半導体市場の2012~2018年の平均成長率は年率6%程度と予測され、2018年時点でも世界IC売上総額に占める割合は8%に達しない。今年は欧州の車載半導体が世界IC売上総額の2.5%とアジア(2.4%)とは僅差でトップシェアを確保する見込みだが、2016年は中国がトップに躍り出ると同社では予測する。背景には中国での自動車生産の成長が期待されるためである。

アジア太平洋地域は、コンピュータ分野と通信分野で他の地域を大きく引き離して圧倒的なトップシェアを誇る。家電用や産業用でもトップシェアだが、絶対額はコンピュータ・通信分野向けに比べて桁違いに少なく、他地域との差も大きくはない。政府・軍事用は、全体の1%にも満たない小さなマーケットだが、米国がトップシェアを握っている、中国は他のすべての分野でトップシェアを握るが、アジア勢にとって2018年に至るまで政府・軍事用はトップシェアは取れない唯一の市場となろう。

グローバルには、通信用がコンピュータ用を2013年に初めて追い抜いたが、2015年にその差は2.7ポイントまで広がるだろうとの予測がでている。また、2012~2018年にわたって、成長率が高い分野としては、産業用と通信用の2分野との予測を示しており、その平均成長率は、それぞれ年率9.1%、8.2%としている。

表1 2015年世界半導体IC売り上げの応用システム(用途)および地域(大陸)別シェア。最上段の青帯内は応用分野を示す。左から順に、家電用、車載用、コンピュータ用、産業用、通信用、政府・軍事用、合計。最左段の地域は、上から南北アメリカ地域(事実上の米国)、欧州大陸、日本、日本を除くアジア・太平洋地域(台湾、韓国、中国など)、合計。肌色の網かけを施された地域は、それぞれの応用分野でトップシェアの地域 (出所:IC Insights)