宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月26日、電力不足による通信不良が伝えられていたX線天文衛星「すざく」の運用を終了すると発表した。
「すざく」は6月1日以来、電力不足に起因して動作状況を知らせる通信が間欠的にしか確立出来ない状態が続いており、姿勢の安定と電源の確保を目指した復旧運用がJAXAによって行われていたが、通信、バッテリーおよび姿勢制御の状況から、科学観測の再開が困難であると判断され、運用終了が決定した。JAXAは今後、運用終了に向けた作業を実施していくとしている。
同衛星は2005年7月10日にM-Vロケット6号機で打ち上げられた、国内で5番目のX線天文衛星で、銀河団外縁部に至るX線スペクトルを初めて測定するなど、さまざまな成果をあげてきた。目標寿命の約2年を超え、約10年にわたって観測を続けてきたが、一方でバッテリーの劣化が進み、観測継続のためにバッテリーの使用方法を工夫するなどして運用が続けられていた。