現在は売り手市場と言われているが、人気企業となれば募集が殺到する狭き門であることに変わりはない。日本における面接で奇抜なことをする人は滅多にいないはずだが、エンターテインメントの本場である米国では目立つが勝ち……なのか、その他大勢から抜きん出るために、突拍子もないことを行う人がいるようだ。就職・転職情報サイトのCareerBuilderが、何千人もの志願者と面接を行っている採用担当に聞いたところ、いろいろなエピソードが出てきたという。

調査は5月~6月に全米の2000人以上の採用担当、人事担当に行ったもので、業種や規模はさまざまだという。すべてフルタイム正社員の面接における話だ。

例えば、ある採用担当は「面接が始まる前に、志願者の娘が電話をかけてきて"お父さんに仕事をくれてありがとう"と言った」と明かす。残念ながら採用されなかったようだが、"じーんとくる"話ではある。

同じく、「親戚が御社に昔勤めていた」といって古い写真を持参したという話も明かされている。このほか、採用に至らなかったが印象的だった志願者のエピソードとして、「履歴書の端を燃やし"燃えるような熱意"を表現した」とか「履歴書をプレゼントのようなラッピングに包んだ」などが挙がった。

モノで釣ろうという話もいくつかある。

例えば、「採用担当のディナーの場所を突き当て、代わりに勘定を払った」とか「レストランの招待券を送ってきた」という話が出ている。

「Davidさん、就職おめでとう!(Davidはもちろん志願者自身の名前)というメッセージの入ったケーキを送ってきた」という話は、ちょっとやりすぎに聞こえるが……。

おもしろ系としては、「クイズ番組の司会者のように振る舞った」「面接中に、携帯電話にかかってきたほかの会社からの電話を受け、募集している職種についての話を始めた」というものも。

いずれもまるで、TVコメディのようだ。面接中に床にしゃがみ込み、会社のシンボルであるマスコットと一緒に写真を撮ってと採用担当にお願いしたという話もある。

これまでの話も大概だが、それに輪をかけて「どう考えても失敗」と言いたくなる話もある。ある志願者は会社について調べてきたことを示すために「企業の歴史を話し始めたが、その内容が間違っていた」という。

このような目立つためのアイディアを聞くと、その必死さに感動すら覚えるが、「採用を最終的に決定づけるのはやはり、求めているようなスキルや経験があるかどうか」だという。そこでCareerBuilderでは、面接で評価を得るためのアドバイスとして以下を紹介している。

良い意味でしつこい

採用担当の多くは、面接後に電話やメールをもらうことをいとわない――プロフェッショナルとして自社に関心を持ち、興味を抱いているのであれば。

人によっては、"熱意"と受け取ってもらえるだろう(少なくとも、上記のように履歴書の端を燃やす"熱意"よりは評価されるはずとのこと)。

だが、意味もなくメールを送りつけるのは逆効果だ。

相手を知る

採用担当とはいっても、個性や性格が異なる人間だ。

ある人には通じる冗談が、別の人には通じない、それどころか怒りを買うこともある。

ただ、意表を突いたり、あまりに個性的すぎたりすると、採用担当からは「会社に入ってほかの社員とやっていけるのか」と敬遠される可能性がある。

技巧を凝らす必要はない

シンプルが一番なことがある。

質問への答えも、考え込みすぎて意味不明な言葉を羅列するよりも、自分の言葉で等身大の自分を表現したほうが印象は上がりそうだ。

自分のスキルをアピールする

求めているスキルを理解し、個性で勝負するのではなく、求められているスキルや経験が備わっていること、能力があることをアピールしよう。