もしあなたが母親で、自分が働いていることに罪悪感を感じているのなら、その必要はなさそうだ。あなたは子供の教育に重要な要因となっている。
Harvard Business Schoolが、働いている親に育てられることで子供にメリットがあるとする調査書を出している。そのポイントを説明したIncの記事「働く母親に育てられた娘は成功、息子は共感できる人になる可能性が高い(原題:Working Mothers Raise More Successful Daughters and Empathetic Sons)」を紹介したい。
Harvard Business Schoolのレポートを執筆したのは、同ビジネススクールで経営学のCahners-Rabb教授を務めるKathleen McGinn氏らのチームだ。調査では、日本を含む成長国を中心とした24カ国の女性1万3300人、男性1万8100人を対象としたもので、社会科学研究のための世界レベルのコンソーシアムInternational Social Survey Programmeなどのデータを参考にまとめた。
ポイントは以下の通り。
- 外で働く母親に育てられた女子は、職場で管理職に上がるケースが多い
一方で男子は、外で働く母親に育てられた場合と専業主婦の母親に育てられた場合で、管理職に就く比率は大きく変わらなかった。
- 外で働く女性に育てられた女子は、専業主婦の母を持った女子より高収入
男子の場合、母親が外で働いていたのか専業主婦だったかで収入に大きな差はなかった。
外で働く母親に育てられた男子は、家事に貢献し、家族の面倒を見る傾向が強い
外で働く母親を持った女子は自分が母親になった際に、専業主婦に育てられた女性よりも子供と費やす平均時間が長い
「外で働く母親」の定義は、「母親は自分が生まれてから14歳になるまでに外で報酬を得る仕事をしたことがあるか」でイエスと答えたかどうか。
つまり、プロフェッショナルなキャリアウーマンではなくても、パートでも外で仕事をしていると働く母親に育てられたことになる。
「子供時代に母親が1年のうち、わずか数カ月のみ働いたのか、それとも1週間に60時間の労働をこなしていたのかは関係無い。われわれの調査は母親がプロフェッショナルだったのかどうかにフォーカスしているのではなく、子供にとって母親が"女性は家の内と外で働く"というロールモデルを持っていたのかどうかを重視した。これがどのように子供に影響したのかを知りたかった」とMcGinn教授はHarvard Business Schoolの記事で述べている。
そして、「働く母親に育てられることは、男女共同参画に明確に影響を与えているといえる」と結論付けている。
だが、男女間で格差は残る。成長国において、2人親家庭で女性が家族のケアなどに費やす時間は毎週平均17.7時間、一方の男性は9時間だった。また、家事に費やす時間も女性が週17.8時間、男性は8.8時間だったと報告している。
経済協力開発機構(OECD)によると、日本人が家事や家族のケアなどの無償労働に費やす時間は、男性が1日69分(1時間9分)、女性が326分(5時間26分)となっている。