シーメンスPLMは2月19日、マシナリー・インダストリー シニアディレクターのラフール・ガーグ氏が来日し、産業機械業界に向けた事業戦略に関する記者説明会を実施した。
ガーグ氏によれば、電話をはじめとするさまざまなデバイスがインターネットに接続するようになるなど、社会のIoT化が進む中で、産業機械もこれに大きな影響を受けることになる。産業機械にもIoT、クラウド、ロボティックス、3Dプリンタ、ナレッジオートメーションなどの技術が搭載されようになるという。
こうしたテクノロジーを生かして事業を変革していくために、ガーグ氏が重要として挙げたのは「Ideation:設計」「Realization:製造」「Utilization:運用」の3点。つまり製品の構想から運用までを包括的に捉える必要がある。それを実現するシステムとしてシーメンスPLMが提唱しているのが「Smart Innovation Platform」だ。
「Smart Innovation Platform」は「Engaged User」「Intelligent Model」「Realized Products」「Sustainable System」という4つの柱で構成されている。このプラットフォームは、製品のライフサイクル情報管理をはじめ、設計から運用までを行うシステムを統合し、従業員がそれぞれの役割に応じて必要な情報へアクセスできるようにするだけでなく、オープンプラットフォームを提供することで他社製品・システムとも共存可能な仕組みを構築するというアイデアだ。ガーグ氏は「我々はデザインソフトと物理エンジニアリングソフトの両方を提供しており、機械の設計から運用まで支援するノウハウを持っている」とコメントした。
同社は具体的な取り組みとして、「Advanced Machine Engineering Campaign」を展開しており、2D図面から3DCADへの移行、顧客の受注管理、工作機械のモジュール化、オートメーションのシミュレーションなどに対する支援を提供している。また、同氏は世界中の産業機械メーカーが実施しているベストプラクティスを収集・反映させ産業機械向けにNXやTeamcenterを調整しパッケージ化した「Industry Machinery Catalyst v1.0」を2015年の第2四半期(4月~5月)にリリースすることも明かした。
最後にガーグ氏は「日本の産業機械業界では約70%がまだ2D図面ベースで設計を行っている。これまで日本の企業はこの分野において世界をリードしてきたが、新しいテクノロジーを取り入れるのが他国に比べて得意ではないように思うのでサポートしていきたい」とコメントした。