アーキテクト部門の総合順位を発表すると、優勝は「mirai craft」であった。素直におめでとうを送りたいと思う。なお、優勝チームへのインタビューは別記事にてお届けする予定だ。

アーキテクト部門

  • 優勝:308.0点 mirai craft
  • 準優勝:290.5点 追跡線隊HiICSグリーン
  • 3位:288.0点 Circle of "F"
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  • 4位:250.5点 男子力∞MAKOTO+α
  • 5位:228.0点 伊良部高校

今大会は企画審査の得点も公開されるようになったようで、後日公式Webサイト上で発表されたのだが、mirai craft(画像48)は143点でトップだった。両方共に高得点だったことから、優勝に輝いたというわけだ。準優勝の追跡線隊HiICSグリーン(画像49)も両部門で得点は高かったのだが、どちらの部門でもmirai craftには及ばず、惜しくも準優勝止まりだった。また、会場審査でトップだったCircle of "F"(画像50)は、企画審査も決して悪いわけではないのだが、mirai craftと追跡線隊HiICSグリーンに若干水をあけられており、伸び悩んでしまい、逆転を許してしまった形である。

画像48(左):mirai craftのメンバー。チーム名の由来は、伝統としてmiraiをつけることのほかに、船や飛行機といった意味と、手工芸などの意味と、craftの両方の意味を掛け合わせ、壮大なものを趣向を凝らして作り上げ、未来を表現したいという意味があるという。画像49(中):追跡線隊HiICSグリーンのメンバー。同戦隊は昨年までの追跡線隊ICSがパワーアップし、新戦力として同チームのグリーンら2名を加え、追跡線隊HiICSとなったというわけだ。画像50(右):Circle of "F"のメンバー。なお、チーム名の"F"は「フィフス」の略である(チーム名の由来は確認できなかった)。筒乗りは非常に難度が高かったそうで、何度も途中で投げ出しそうになったそうである

また、惜しくも4位となった学生チームの男子力∞MAKOTO+α、及び5位の伊良部高校は、「若さと勢い」は会場審査員には効果的だったが、企画審査はなかなかそれが通じないというところがはっきりとした形だ。ぜひ、学生チームはパフォーマンスでの若さと勢いという最大の武器をそのまま残しつつ、苦手とする企画審査の部分でレベルアップしてほしい。会場審査では高得点を出せているのだから、企画審査でも高得点を出せれば、優勝を狙えるのはいうまでもないだろう。というわけで、企画審査の得点ベスト5も掲載しておく。

  • 1位:143点 mirai craft
  • 2位:133点 追跡線隊HiICSグリーン
  • 3位:127点 もっと、とってきなさい。(個人/北海道)
  • 4位:113点 Circle of "F"
  • 5位:110点 g-ice(群馬工業高等専門学校 電子情報工学科/北関東)

「もっと、とってきなさい。」(画像51)と「g-ice」(画像52)は、企画審査で高得点を得ていたわけだが、会場で評価を得られなかったため、合計得点で伸び悩んでしまった。特に、もっと、とってきなさい。はモーションセンサを使用した仕組みで、少なくとも2014年のCS大会ではほかに見られないシステムを作っていたのだが、Bluetoothのペアリングがうまくいかず、パフォーマンスを披露できない結果に終わってしまった。身近なものを利用して作る「チョイロボ」というコンセプトや、それらを使ったエアホッケーなど、面白そうだったので残念である。ゲームをリアル化したg-iceは、モンスターを見立てた風船が破裂するはずなのに破裂しなかったり、最後も勇者のNXTWayが魔王のNXTWayを押し倒すはずが両者共倒れとなってしまったりするなど、残念ながら予定通りに進まず、期待感があったのでガッカリしてしまったことで、会場審査の得点が下がってしまったという具合だ。

画像51(左):もっと、とってきなさい。は、Bluetoothのペアリングがなかなかうまくいかず、制限時間を使い切ってしまった。画像52(右):g-iceのパフォーマンスの様子。モンスター役の風船の横を抜けていく場面。ここで破裂していると、だいぶインパクトがあったと思うのだが…

今回優勝したmirai craftを見て思ったのは、世の中においてもっと便利になってほしいと思われているようなシチュエーションを抽出し、それを解決するためのソリューションを提供するということをわかりやすく表現することが、高評価につながるということだ。アーキテクト部門の基本コンセプトの1つに、ものづくりの1つ先のサービスを生み出す「ことづくり」ができるようなエンジニアを育てるというものがあるわけで、やはりそれに最も合致したものが企画審査が高くなるし、会場審査でもそれがきちんとパフォーマンスによって伝わることで評価されるのである。

そうした"ことづくり"は社会人チームの方が、やはり有利だろう。例えメンバーが入社数年程度の若手だけだったとしても、学生と比較すれば絶対的に経験値は多いし、社内にはベテランのエンジニアや営業マンなど、いくらでも生きた話を聞かせてもらえる先輩たちがいることも大きいはずで、そうした"ことづくり"な考え方を進めるには、学生よりも有利だろう。しかし、学生チームも自分たちの若さや勢いといった有利な部分はあるわけで、そうした強みを残しつつ、企画審査で得点をアップさせるべく、がんばってみてほしい。もちろん簡単ではないとは思うが、それができれば優勝の可能性が出てくるだけでなく、「うちの会社に入らないか?」なんて、スカウトもされる可能性もあるわけで、ぜひ頑張ってほしい(実際、CS大会後の祝勝会パーティーでは、毎年、どこかの企業が、マジメにスカウトしている姿が見られる)。