竹中工務店は、病院の医師や看護師など医療スタッフのコミュニケーションの発生場所や頻度を設計段階で定量的・客観的に予測し、動画で「見える化」するシミュレーションツールを開発・実用化したと発表した。

医療現場では、チーム医療が主流となり、医師、看護師をはじめ薬剤師、臨床検査技師、放射線技師、栄養士、事務職員などの多職種間のコミュニケーションの重要性が増している。

今回開発したシミュレーションツールは、「いつ」「どこで」「誰と誰が」出会うのか、「どの程度」のコミュニケーションが生まれるかなど、コミュニケーションの発生をスタッフの1日の行動実態などからシミュレーションし、動画で「見える化」するもの。

これにより顧客は、必要に応じ複数の設計プランを比較しながら、設計を進めることができる。

コミュニケーションマップ(丸で示す部分がコミュニケーションの発生する場所)

このツールは、チーム医療を積極的に推進する立川綜合病院(新潟県長岡市)新築工事の計画段階で活用され、中央に吹抜と階段のある"スタッフベース"を設けるプランがスタッフ間のコミュニケーション量を約20%増加させることをシミュレーションで確認したという。

シミュレーションツールでは、医療スタッフの1日のスケジュールについてアンケートを実施し、個々のスタッフの行動パターンを集積。さらに、同社がこれまでの医療施設計画で培ってきたノウハウを活用し、医療スタッフのタスク毎の作業場所・時間、職種間の業務近接度などをモデル化して行動特性データを作成する。

そして、各種情報をもとにシミュレーションを実施し、コミュニケーション発生の状況を動画表示。シミュレーション結果データから発生頻度や発生場所が分かるコミュニケーションマップを作成・分析するという。