クラウド型の動画制作プラットフォームを提供するViibar(ビーバー)は12月10日、デジタルハリウッドと提携し、デジタルハリウッドが2015年1月31日に開講する新設講座「ネット動画クリエイター専攻」内にて、ネット動画のシナリオ作りに特化したクリエイター教育プログラム「ネット動画 企画・シナリオライティング実践」コースを2015年2月より開講すると発表した。

新講座「ネット動画クリエイター専攻」Webサイトイメージ

同コースは、ビーバーの現役プロ動画クリエイターを講師に迎え、ネット動画時代に適したシナリオや字コンテ制作の手法、企画の考え方など実践的な技術を提供するプログラム。経験や年齢を問わず、クリエイティブに携わりたい人やネット動画クリエイターを目指す人、動画マーケティングの導入を検討する法人などを対象とする。

授業は個別トレーニング形式で、2015年2月28日から1カ月間「STUDIO 渋谷」にて実施されるほか、同年4月頃を目処に全国展開する予定。同コースのみの受講料は6万円(税別)で、12月13日より申し込み可能となる。

なお、同コースにて一定水準の成績を収めた受講者は、ビーバーの提供する動画制作プラットフォームへのクリエイター登録が可能。修了後からシナリオライターとして、さまざまなネット動画制作案件に参加することができる。

動画制作を身近にするプラットフォーム「Viibar」

動画制作プラットフォーム(Viibar)とは、広告やPR、コンテンツなどに活用するネット動画を制作したい企業(クライアント)と、動画クリエイターを直接結びつけるサービスで、審査を通過した約1700人のクリエイターが所属。マッチング機能だけでなく、動画制作の過程におけるコミュニケーション・ファイル共有を一元的に行うチャットルーム機能や、進捗アラート付きのスケジュール機能、動画内に指示を書き込める試写機能なども提供する。

動画制作プラットフォーム「Viibar」概要

クライアントは、中間業者を通さずに、同サービス上でクリエイターのポートフォリオを閲覧し直接発注が可能なほか、ネット上でやり取りを行うため、通常よりも安価に短期間で動画素材を手に入れることができるという。なお、データはAWSを活用したクラウドにて保管される仕組みだ。

同サービスは既に、楽天やDeNA、ヤフー、ANA、リクルートなどに採用された実績を持ち、多彩なクライアントのネット動画制作案件が集まる。クリエイターは、企画アイデアを100文字で募集するライトな案件から、数百万円の制作費を預かり企画から完パケまで遂行する案件まで、講座で身につけた力を活かし参加することが可能となる。

なぜ今、動画制作なのか

ビーバー 代表取締役の上坂優太氏は、大学卒業後に映像制作会社を経た後、楽天に入社。マーケティングや宣伝の業務に携わる中で、映像・動画制作における課題をテクノロジーで解決できないかと考え、起業に至った経歴をもつ。

同氏は、米国において動画を活用したマーケティング手法や広告が台頭し、ネット動画広告市場が拡大に向かう一方で、日本市場は未発達な理由を、動画業界の制作側と発注側の視点から分析する。

「米国では例えば、New York Timesが動画コンテンツを作成し配信しているといった事例があります。プレイヤーも多彩にわたり、動画広告の市場規模を見ると、2013年は約3800億円でしたが2014年には約5900億円になります。成熟しつつある市場なので、今後成長スピードは鈍化するものの、2017年に1兆円を超えると予測されています」(上坂氏)

米国では、動画広告の成長率が最も高いと予想

米国の動画広告市場規模は、2017年に1兆円超へ

シード・プランニングの調査によると、日本の動画広告市場規模は、2013年が約158億円、2014年が前年比2倍となる約311億円という実績で、2017年には880億円にのぼると推測。米国より数年遅れているといった印象だ。

日本の動画広告市場規模は、米国に遅れている印象

上坂氏があげる「日本の動画広告市場の課題」

上坂氏は、この現状を踏まえ、日本市場には「動画を配信するメディアが少なく」「動画配信技術の発達が遅れている」ほか、「ネット動画を大量に制作する仕組みがない」ことが原因ではと述べる。

「動画の制作側と発注側の両方の立場にいた経験から、特に動画制作環境の非効率さと価格の高さに対し課題を感じていました。そのソリューションとして、動画制作プラットフォームの提供に至っています」(上坂氏)

ビーバーは、同プラットフォームの提供とデジタルハリウッドとの提携によるクリエイター教育プログラムで、日本のネット動画市場の更なる拡大を図る考えだ。