Freescale Semiconductorは10月6日、電子レンジ向けにソリッドステートRFパワートランジスタ「MHT1003N/1002N」2品種とアプリケーション開発エコシステムを発表した。
従来のマグネトロン技術は、電力のオン/オフ制御に依存しており、エネルギーが勝手気ままにマイクロ波キャビティを埋めるため、調理時の加熱状態が均一にならないことがあった。これに対し、今回のソリッドステートデバイスは、RFエネルギーの方向とタイミングを制御でき、エネルギーを効果的に利用できる。このため、電子レンジの形状やサイズ、機能などに囚われない、まったく新たな調理製品を開発できる。例えば、高精度な調理や、ばらつきのない料理品質、選択的な加熱、幅広い調理法の複雑な組み合わせなどを電子レンジで実現できるようになる。
さらに、マグネトロンの場合、500時間動作させただけで、RFエネルギーを生み出す力を失い始めるが、ソリッドステートRFパワーの場合、優れた信頼性が実証されており、性能の劣化なく最大20年間の継続使用が可能となっている。そのため、電子レンジの製品寿命が尽きるまでばらつきのない調理が可能となり、キッチンのダウンタイムや修理を減らすことができる。
また、今回発表された2品種は、電力付加効率58%の250Wトランジスタ「MHT1003N」が2.45GHz電子レンジアプリケーションを、電力付加効率65%の350Wトランジスタ「MHT1002N」が915MHz電子レンジアプリケーションを対象としており、どちらも過酷なRF加熱環境に耐えつつ低価格を実現したオーバーモールドプラスチックパッケージのOM-780-2LおよびOM-780-4Lが採用されている。そして、各デバイスはRF Power Toolシステムによってサポートされている。同システムにより、同社の産業用RFパワーデバイスの動作、評価、最適化で必要とされるすべての機能が提供されるという。
なお、価格は1万個購入時で「MHT1003N/1002N」それぞれ37ドルと26ドル。また、RF Power Toolシステムは開発システム1台あたり5500ドル、互換性のある「MHT1003N」の評価ボード「RFPT-H2450-250」は1650ドルとなっている。どちらもオンラインで直接購入できる。