Q:電源制御とか(バイブレータ用の)モータ制御とか、全部そうですよね。

A:車だと100コア位入りますからね。そこで、もう1つのフォーカスが車載なんです。IoTと車載。そして、それが繋がり、生きる社会インフラを実現するという事です。

Q:ちょっと確認させていただきたいのですが、車載と仰っているのはInfortainmentあるいはConsoleの話ですか? それともECUの話ですか?

A:全部ですね。例えば今はABSですら入っています。

Q:問題は、ConsoleあるいはInfortaiment SystemはもうどこのメーカーもDesignレベルで言えばARM以外ではやっておられない。昔から、日本で言えば例えば富士通はARM11ベースのコアにJADEというGPUコアを入れてConsole向けにやっておられる。東芝もそうです。つまり、ここはもう何もしなくてもARMですよね?

A:まさしくそうです。Naviなんかは、もうTablet化してます。Tablet、スマートフォンと同じですね。なので、それ以外なんです。特にお話したいのは、Motor Control、それからBattery Management、そして車内LANです。あとはAround Viewで、これはConsoleに統合しますが、実際にはSensorもIntelligent化しますので、各々コアが入ってくるわけです。

Q:今はABS、エアバッグ、サスペンション、色んなものが全部Intelligent化しますからね。

A:EVの場合は特にモータと、それと電池のマネジメントにはIntelligent化が必要です。

Q:ただ、そこが自動車メーカーの本丸な訳ですよね。

A:そうです。なのでそんな甘い市場ではなくて、一番厳しい市場です。

Q:丁度話が自動車に移ったところで。実は日本では、そこが一番参入が遅れている部分かと思うのですが。で、御存知の通りそこはルネサスの牙城であり、最近はFreescaleがPowerベースでそこに入ってきている。もちろんARMもCortex-Rをメインにそこに入って行こうとされていますが、現実問題として現在TI以外はやられていない(*1)ですよね?

*1:このインタビュー当時、後にSpansionが買収する富士通のマイコン部門がCortex-Rベースの車載向けMCUを開発している事は明らかになっていなかった。

A:そこはイエスとは言えないですね。つまり、そんな事はないです(笑)。ただ全部を大っぴらにすることはできませんので、これ以上は言えません。

Q:公式にアナウンスされている分では、TIがContinentalに働きかけをされているという事だったと思います。ContinentalはこれまでInfineonのMCUを使っていたが、今度からTIのSafe TIに変わって行くという話です。ただ、日本のメーカーでは今のところそうした話はないですよね?

A:そう思われますよね。確かに、遠いといえば遠いですが、2020年までとそれ以降のプラットフォームという意味では、ほぼ私どもの製品が使われていくという方向で各社と話ができていると思います。ただ詳細はちょっと申し上げる事はできないところでもあります。ただ、言えるキーワードとしては「ARM」で、かつ「機能安全」になります。

Q:その機能安全が一番肝なのかな、という気がするのですが、例えばISO26262の中で一番きついASIL-Dだと10FITとかいう話になっています。実はこれは私も良く判っていないので、ついでに教えていただけると助かるのですが。例えばFreescaleでもルネサスでも良いんですが、コアそのものは標準のe200だったり、V850だったりするわけですが、このコアで10FITを実現するために、「じゃあここはトリプルラッチにしましょう」とか「ここは冗長性作りましょう」とか回路に思いっきり手を入れられている訳で、そうした回路レベルと、その上のロジックレベルの両方のテクニックを駆使して、10FITを実現されている訳です。ではTIがSafe TIを実現するのに、Cortex-R7に手を入れられたんでしょうか? 私の認識では、ARMのプロセッサコアの場合、Hard IPにしてもSoft IPにしても、「ここはSingle LatchになってるけどDouble Latchにしちゃえ」みたいな事は許されていなかったと理解しているのですが。

A:いや、それは出来ます。それはインプリメンテーションの部分ですので、可能です。