EMCジャパンは6月18日、Software-Defined Storage(SDS)の製品群として、「EMC ViPR 2.0」「EMC ScaleIO」「Elastic Cloud Storage Appliance」を発表し、一部製品の出荷を開始した。

EMCジャパン 執行役員 グローバル サービス統括本部 システムズ エンジニアリング本部長 飯塚力哉氏

EMCジャパン 執行役員 グローバル サービス統括本部 システムズ エンジニアリング本部長 飯塚力哉氏は、これらの製品は、モバイル、クラウド、ビッグデータ、ソーシャルという、今後データ量の大幅な増大をもたらすであろうIT業界の大きな流れに対応するための「第3のプラットフォーム」への橋渡しをする製品と位置づけた。

「EMC ViPR 2.0」

「EMC ViPR 2.0」は、同社のSoftware-Defined Storageプラットフォームの最新版で、7月1日より販売開始する。なお、EMC ViPRについては、こちらを参照。

「EMC ViPR 2.0」

「EMC ViPR 2.0」では、顧客が持つストレージを有効活用する視点で、既存ストレージやコモディティサーバの対応を追加。ViPR Controllerで管理対象として、日立のHDS、シスコ、VMware、EMCによるコンバージドインフラ「Vblock」、HP SL4540、および同日発表されたクラウドストレージアプライアンス「EMC ECS」が加わった。これらは、EMC ViPR内部にストレージにアクセスするためのAPIを実装することで実現しているという。

また、ViPR Controllerにおいては、OpenStackでブロック・ストレージをサポートするCinderドライバ経由でのアクセスも新たにサポート。ViPR Controllerでの管理を可能にした。

既存ストレージやコモディティサーバの対応を強化

「EMC ViPR」を構成するもう1つの機能「ViPR Data Services」においては、「ViPR Block Services」機能が追加された。これにより、「ViPR」の管理下にあるコモディティサーバをベースとしたブロック ストレージ機能を提供。さらに、従来のオブジェクトおよびHDFSストレージ環境においてもコモディティサーバをサポートする。

また、「ViPR Data Services」に、複数のデータセンター間で一貫したストレージ管理サービスとして、ジオレプリケーション機能(複数データセンター間でオブジェクトをコピーする)とジオディストリビューション機能(オブジェクトのサイト間で効率的に配置する:特許申請中)を提供する。

これらは、データの所在管理するNameSpaceをすべてのサイトで共有する仕組みを提供することで実現する。

ジオレプリケーション機能では、とこかのサイトがダウンした場合に、他のサイトに自動でフェールオーバーする仕組みを提供。一方、ジオディストリビューションは、アクセスパターンを検知して、データをそれぞれのサイトに最適な状態で配置するのだという。

ジオレプリケーション機能とジオディストリビューション機能

たとえば、いろいろな場所から、多くの人が同時にアクセスするようなストリーミングデータなどは、すべてのサイトにコピーを置き、アクセスする人がもっとも近いサイトからダウンロードする方式を採用。個人のファイルなどは、その人が所属するサイトに保存するなどの対応を行うという。

そのほか、「ViPR Data Services」では、「EMC Centera」のAPIをサポート。「ViPR」がサポートしているプラットフォーム上で、「Centera」の機能とコンプライアンス機能を利用することができるようになった。「ViPR 2.0」の価格は個別見積もり。

「EMC ScaleIO」

「EMC ScaleIO」(スケールアイオー)、サーバに内蔵されているSSD、PCIeフラッシュストージ、HDDを抽象化し、複数のサーバで結合し、仮想ストレージ プールを作成できるソフトウェア製品で、既存サーバの資産を有効活用する。数千台規模までの拡張性が大きな特徴。

「EMC ScaleIO」

また、ネットワークの帯域による上限はあるものの、プール化されたサーバ間での分散処理やデータ配置の最適化により、構成するサーバの台数に比例して、容量およびパフォーマンスが拡張するスケールアウト アーキテクチャを採用している。

EMCジャパン システムズエンジニアリング本部 シニアシステムズエンジニア平原一雄氏

EMCジャパン システムズエンジニアリング本部 シニアシステムズエンジニア平原一雄氏は「WindowsとLinux、物理サーバと仮想サーバなど、異機種混合環境で利用できることがポイントだ。また、システムを止めずにリソースの追加、削除も自由に行える」とその特徴を説明した。

利用用途としては、VSI(Virtual Server Infrastructure)による、サーバリソースの統合、データベースの並立処理、検証/開発環境を想定しているという。

価格は119万7,000円(税別)~(最小構成価格:12TB x 99,750円/TB)で、6月18日より提供される。

「EMC ScaleIO」の利用用途

「Elastic Cloud Storage Appliance」(EMC ECS)

「Elastic Cloud Storage Appliance」(EMC ECS)は、「ViPR 2.0」、「EMC ScaleIO」とコモディティサーバを組み合わせたストレージアプライアンス。

「Elastic Cloud Storage Appliance」(EMC ECS)

モジュラー型、スケールアウト型ソリューションで、1ラック最大2.9PBまで拡張できる。クラスタ化によってEB(エクサバイト)規模の容量まで拡張することが可能だという。

10Gbイーサスイッチをパッケージ済みで、EMCによるOS導入とパッチメンテナンス、および一貫したサポートが提供される点が特徴だという。

「Elastic Cloud Storage Appliance」(EMC ECS)の特徴

容量、ワークロードに応じて5タイプが用意され、価格は個別見積もり。提供開始時期は2014年第4四半期(10月~12月)を予定している。

容量、ワークロードに応じて5タイプが用意