EMCは3月26日、Software-Defined Storageプラットフォーム製品の新版「ViPR 1.1」を発表した。

EMCジャパン プロダクト・ソリューション統括部 ソリューション部 ASD担当 石井善志彦氏

ViPRは、複数の物理ストレージを仮想的に統合し、容量の割り当て処理などを自動化するストレージ管理製品。「Software-Defined Storage」という分野に位置づけられ、ストレージ管理者は物理ストレージを意識することなく各種の作業を行える。

ViPRは、「ViPR Controller」と、「ViPR Data Services」という2つのソフトウェアによって構成される。

これらのうち、ViPR Controllerは、管理者からのリクエストに従って、必要なストレージ環境を自動で構成する役割を担う。設定画面で必要項目を入力すると、物理ストレージの構成や、各ストレージ製品固有の仕様、ネットワーク構成などを踏まえたうえで、必要なストレージ環境が用意される。

「通常は、構成確認・設計、ボリューム設計、スイッチの接続設定、サーバへのアクセス制御、ストレージボリュームの割り当てなどを個別に行う必要があり、この作業に数日~数週間かかっていたが、ViPRではそうした作業が自動化され数分で完了する」(EMCジャパン プロダクト・ソリューション統括部 ソリューション部 ASD担当 石井善志彦氏)といい、EMCでは、利用開始までのリードタイムを縮められることや、管理作業がシンプルになるなどを利点として挙げた。

ViPR Controllerは、EMC製ストレージのみならず、3rdパーティのストレージにも対応している。現在のところはネットアップ製品のサポートにとどまっているが、今後は、IBMをはじめとするさまざまなベンダーに対応していく予定。

ViPR Controllerの利用イメージ

一方、ViPR Data Servicesは、オブジェクトストレージとファイルストレージの橋渡しをするソフトウェアになる。社内のファイルストレージのデータを、Amazon S3をはじめとするパブリッククラウドサービスに移す際などに自動でIDを付与し、移行作業をスムーズに行えるようになるほか、既存のファイルストレージの一部をオブジェクトストレージとして扱えるようにする機能も提供する。

ViPR Data Servicesではファイルストレージをオブジェクトストレージとして扱えるようにすることも可能

なお、新版では、ViPR Controllerにおいてクラスタシステムへのプロビジョニング対応、Boot LUNプロビジョニング対応、ファイルシステム マウント機能の拡張、「Symmetrix VMAX」向け「SRDF」リモートデータ複製機能への対応などが追加されたほか、ViPR Data Servicesでは、ViPR配下のファイルストレージをHDFS(Hadoop Distributed File System)データ領域として活用できるようになっている。