オムロン ヘルスケアは5月14日、簡便に摂取塩分の状況を測定できる研究用の尿中Na/K(ナトリウム/カリウム)比測定器(ナトカリ計)「HEU-001F」を発表した。研究者向けに2014年秋より発売する予定。
高血圧の主要要因の1つに塩分の過剰摂取があるが、味噌汁や漬物など日本食文化には塩分の多いものが多く、1日の日本人の平均塩分摂取量は約10.6gと、高血圧学会が推奨する6g未満やWHOが推奨する1日5g未満を大きく上回っており、日本人で塩分摂取が1日6g未満である人の割合はわずか数%といわれている。また、日本人の約半数は遺伝的に塩分感受性が高く、塩分過剰が原因の高血圧患者が多数存在すると言われている。さらに、日本人は塩分を体外に排出し、血圧上昇を抑制する作用がある野菜や果物(カリウム)の摂取量が不足がちだといわれている。
高血圧管理には、塩分やカリウムの摂取量の管理が重要だが、これまで食事における塩分摂取計測には、1日分の尿をすべて溜めて医療機関で分析する24時間蓄尿検査が必要であり、簡便に計測することができなかった。
そこで、24時間蓄尿検査に代わる簡便な手法を開発する過程で、世界的な疫学研究のINTERSALT研究にて、血圧との関連が示されている尿中Na/K比という指標に着目。滋賀医科大学との共同研究により、1日1回、1週間程度、尿をセンサにかけるだけで計測した数値が、24時間蓄尿による従来手法とほぼ同等の数値となることが分かった。これにより、日常生活におけるナトカリ比を高精度に簡単に把握することが可能になり、これまで把握が難しかった個人の日々の塩分・カリウム摂取の状況を手軽に数値で確認することができる。今後は、高血圧患者の食事指導による食事状況の変化を的確に捉えるなど、高血圧予防や管理ツールとして活用が期待されると説明している。