Analog Devices(ADI)は、車載オーディオ向け次世代SigmaDSPプロセッサ「ADAU1452」を発表した。

同製品は、ハードウェアおよびソフトウェアを改良することで、既存品に比べ、最大3倍のオーディオ処理アルゴリズムの実行を可能にしたもので、時間および周波数の両ドメインの同時処理を実現しているため、これにより、信号処理技術の実装可能な範囲が拡張し、システム設計における課題を解決できるようになるという。

また、1.2V、32ビットDSPコアは、最高294.912MHzまでの周波数動作で、標準サンプル・レート48kHzにおいて、サンプル当たり最高6144命令(約1.2GMAC/s、295MIPS相当)を実行することが可能なほか、ストリームライン式コア・アーキテクチャにより、シングル・プログラムで3000超のバイカッド(二次セクション型)フィルタを実行可能。

さらに、拡張されたデータ・メモリは、最高2万4000タップ長までのFIRフィルタに対応しているほか、搭載されているクロック発生器、非同期サンプル・レート・コンバータ、フレキシブルなハードウェア・オーディオ・ルーティング・マトリックスにより、複雑なマルチレート・オーディオ・システムの設計を簡素化しつつ、クロック・ハードウェアや整数フェーズ・ロック・ループ(PLL)は最大15オーディオ・サンプル・レートを同時に生成することを可能としている。

加えて、自由に設定可能な48チャンネルの32ビット・シリアル・ポートやステレオS/PDIFインタフェース、多目的入出力ピンを備えているので、広範囲のデータ・コンバータ、デジタル・オーディオ・デバイス、アンプ、さらにコントロール回路へのインタフェースが可能なほか、PDMインタフェースと集積デシメーション・フィルタを用いることで、最大4個のMEMSマイクロフォンと直接インタフェースすることも可能。

このほか、独立したスレーブ、マスターI2C/SPIコントロール・ポートも組み込まれているため、外部マスター・デバイスによるプログラミングやコンフィギュレーション制御だけでなく、マスター動作により外部スレーブ・デバイスを直接コンフィギュレーションすることもでき、セルフブート機能との組み合わせることで、動作のための外部入力が不要でかつ、コンパクトなスタンドアロン・システムの設計が可能になるという。 なお、適用分野としては、車載インフォテインメント(アンプ、ヘッドユニット)、コンスーマ・オーディオ(サウンドバー、サブウーファ、アクティブ・スピーカ)、およびプロフェッショナル・オーディオ(アンプ、ミキサー、エフェクト装置)などとしている。

すでにサンプル出荷を開始しており、価格は1000個受注時で11.99ドル(米国における販売価格)となっている。

車載オーディオ向け次世代SigmaDSPプロセッサ「ADAU1452」の機能ブロックダイヤグラム