「Zabbix」はラトビア出身のアレクセイ・ウラジシェフ氏によって開発された、サーバやネットワーク機器について、アプリケーションの死活・パフォーマンス監視を行うツールである。(なお、現在はウラジシェフ氏が設立したZabbix SIAによって開発が継続されている。) 「Zabbix」は、オープンソースとして提供されているため、カスタマイズ性が高く、様々なソリューションに組み込むことが可能である。また、基本的な機能は無償で利用できることもあり、世界中から大きな注目を集めている。

その「Zabbix」のカンファレンスが、2013年11月22日(金)、東京にて開催される。本国であるラトビア以外で開催される初のカンファレンスということもあり、世界中から大きな注目が集まっている。 今回は、「Zabbix」の日本支社であるZabbix Japanの寺島 広大氏に、インタビューを敢行。設立されて丁度一年が経過した日本法人Zabbix Japanの、今後の活動について展望を語っていただいた。

Zabbix Japan LLC代表 寺島 広大氏

オープンソースで提供される高機能な監視ツール

2013年10月現在、「Zabbix」2013年のダウンロード数は全世界で37万、日本国内においては2.3万にものぼる。なお、この数値はソースコードベースのダウンロード数である。 「おそらく、パッケージも含めると倍以上にはなると思います」(寺島氏)

「Zabbix」が、これだけの支持を集める最大の理由は、ソースコードが無償で公開されているオープンソースで提供されていることだろう。 オープンソースであるが故にカスタマイズの自由度が高くなり、ベンダーロックインの危険性も少ない。パフォーマンスの点においても、秒当たり5万データが監視可能と、大規模なシステムであっても十分に対応できる能力を持っている。 オープンソースであるが故のカスタマイズ性の高さ。他のパッケージ製品にも負けない機能とパフォーマンス。それらを兼ね備えた上に、ライセンスは基本的に無償となれば、コスト削減の観点からも注目が集まるのは当然と言える。 なお「Zabbix」の最新バージョンは11月12日にリリースされた2.2で、特にVMware仮想環境監視の自動設定機能が強化されているとのことである。

サポート体制が魅力。企業が開発するオープンソース

Webインターフェースによる
グラフィカルで分かりやすい表示画面

「Zabbix」はウラジシェフ氏を中心としたZabbix SIA社によって開発されている。企業組織として開発しているため、オープンソースでありながら、充実したサポート体制やトレーニング・パートナーシップなどのサービスが受けられる。これも「Zabbix」が多くの企業から支持される理由の一つだ。 なお、本国のラトビア以外で「Zabbix」のサポート体制が最も整っている国が、何を隠そう日本である。そして、そのようになった最大の理由こそが寺島氏の存在だ。 「元々、私はZabbixコミュニティの運営者でした。勉強会を開催したり、解説書籍を執筆したりしていたところ、ウラジシェフ氏から声を掛けられてZabbix社で働くことになったのです」(寺島氏)

寺島氏らの活動により、日本国内における「Zabbix」のシェアは高まり続け、2012年10月にはZabbix SIA社初の海外支社としてZabbix Japanが設立されることとなる。 「ユーザーの方からの要望をZabbix SIAに伝え、Zabbix SIAからの最新情報をユーザーの方に伝える。私達が情報の架け橋となって、日本のユーザーの方々にとって、より使いやすい環境を用意すること。それが私達の役割です。具体的な活動としては、公式サポートサービスの提供、パートナー会の運営などパートナーの技術・営業支援、トレーニングや無料Webセミナーの定期開催などを行っています」(寺島氏)

パートナーと共に、新たな展開を目指す

Zabbix Japan設立当時、11社だったパートナーは、2013年11月時点で19社となっている。「Zabbix」への注目度を考えると、今後もパートナーが増えていく事は確実だろう。パートナーへの支援、ユーザーへの情報発信、新しいサービスの提供など、Zabbix Japanに掛かる期待は大きい。 「これからは、我々とパートナー様との情報共有だけではなく、パートナー様同士が情報共有を行い、ノウハウや情報を深めていく。それによって、新しいものが生まれると思っています。今後は、そこで生まれてきたナレッジやツールを、パートナー様以外の公式サポート購入ユーザーにも提供していく予定です」と寺島氏は語る。

現在、Zabbix Japanは、約三ヶ月に一度、パートナー会を実施している。そこではパートナー企業の参加者同士が互いに意見を交わし合い、ナレッジの共有が行われている。その中から、パートナー企業と共同で開発した機器やソリューションなども生まれているとのことである。これは、まさにオープンソースならではのスタイルと言えるだろう。 パートナーと共に進化を続ける「Zabbix」から、今後も目が離せない

2013年11月22日に開催される「Zabbix Conference Japan 2013」では、「Zabbix」の開発者かつ、「Zabbix SIA」CEOであるアレクセイ・ウラジシェフ氏の講演の他に、導入事例の紹介やパートナー企業によるソリューション解説など、盛り沢山の内容となっている。 残念ながら、現時点で既に満席となってしまっているとのことだが、当日の講演内容は後日記事として掲載する予定となっているので、興味のある方はそちらをご覧いただきたい。