各社の高級車に搭載される運転支援システム

続いては、高級車向けの高機能な運転支援システム(ミリ波レーダー、カメラ、超音波センサなどセンサの数が多く、システムとして高性能だがその分価格も高い)。公道デモを行った、トヨタ、ホンダ、BMW、ボルボ、GMに加え、冒頭で紹介したスバル、それに三菱自動車、マツダ、日産なども高機能な運転支援システムを開発している。

三菱の運転支援システムは「e-Assist」と呼ばれ、ACC、「衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM)」、「車線逸脱警報システム(LDW)」で構成されている。今回のデモでは、「アウトランダー」(e-Assist搭載グレードの税込み価格は278万7000円~429万7000円)が使用され(画像14)、FCMが披露された。

マツダの運転支援システムはi-ACTIVESENSEといい、「マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)」(運転支援技術)、「前方衝突警報システム(FOW)」、「リア・ビークル・モニタリングシステム(RVM)」、「車線逸脱警報システム(LDWS)」、「ハイビーム・コントロールシステム(HBC)」(以上、認知支援技術)、「スマート・ブレーキ・サポート(SBS)」、「スマート・シティ・ブレーキ・サポート(SCBS)」(以上、衝突回避支援・被害軽減技術)となっている。今回のデモでは「アテンザ(ワゴン)」(税込み価格252万円~348万2500円)を使用し(画像15)、SCBSを披露していた。

日産は「踏み間違い衝突防止アシスト(駐車枠検知機能付)」を披露していたが、同車にも車線逸脱防止支援システムなどフル機能の運転支援システムはある。デモには「エルグランド」(税込み価格310万8000円~750万7500円)が使用されていた(画像16)。

画像14(左):三菱のアウトランダー。 画像15(中):マツダのアテンザ。 画像16(右):日産のエルグランド

今回は、衝突回避・被害軽減ブレーキの同乗走行デモの中でも比較的速度が高く、長めの直線を走ってからシステムの作動の体験を行っていたトヨタ、三菱、BMWを紹介しよう。

トヨタは公道デモと同じレクサス LS600hLを使用した、「歩行者衝突回避支援型プリクラッシュセイフティーシステム」だ。駐停車中の車の陰から歩行者(のダミー)が不意に出てくるという設定になっていて、目の前に出てきた時は自分で運転していたら間違いなく「あ、これは完全にはねた」というタイミングなのだが、そこからきちんと停止して歩行者に接触すらしていないのは頼もしい(動画8)。

また三菱は、ミリ波レーダーを使ったFCMの動作(時速30kmほど)を披露。FCMは作動時の衝撃がかなりあり、作動音も迫力があるのが特徴だ(動画9)。これは、衝突を回避した場合、システムを過信してしまって油断するのを防ぐため、事故スレスレだったんだ、というのがわかりやすくていいのではないだろうか。

そしてBMWも公道デモと同じで、ActiveHybrid 7Lを使用。こちらは速度がやや高めで、時速40km強まで出してから衝突回避・被害軽減ブレーキを作動。とてもスムーズに止まってしまうので、逆にそのすごさがわかりにくいほどである(動画10)。高級車としてのスマートさゆえのスムーズさなのかも知れないが、システムを過信してしまわないかちょっと心配なところはある。

なお、どの車の衝突回避・被害軽減ブレーキシステムでもそうなのだが、結構「これは間に合わない」という距離からでもきちんと働くので、人間では不可能だということがわかるので、特に車内からの映像でその距離感をよく見ていてほしい。

動画
動画8。トヨタの歩行者衝突回避支援型プリクラッシュセイフティーシステムが動作する様子
動画9。三菱のFCMが動作する様子
動画
動画10。BMW ActiveHybrid 7Lの衝突回避・被害軽減ブレーキシステム

というわけで、すでに市販車に搭載されている衝突回避・被害軽減ブレーキなど一部の機能に絞った安価タイプからフル機能の高級タイプまで、すでに市販車に搭載されている各社の運転支援システム+産総研の自動運転技術のデモを見てもらったが、いかがだろうか。「車のロボット化が進んでいる」という話は聞いたことがある方も多いことかと思うが、これらがそのロボット化の様子というわけである。