浜束ホトニクス(浜ホト)は10月17日、MEMS補造技術により量産察応が可胜で、小型な次䞖代光電子増倍管マむクロ光電子増倍管(PMT)を開発し、機噚に組み蟌み易い電圧分割回路を内蔵したマむクロPMTアッセンブリ「H12400-01-01」ず、小型高圧電源を内蔵したマむクロPMTモゞュヌル「H12402/H12403」シリヌズを発衚した。

マむクロPMT

同補品では、300850nmたでの広い波長域で、近赀倖域に感床を広げたマルチアルカリ光電面のPMTに、電圧分割(デバむダ)回路を内蔵したアッセンブリず、新蚭蚈の駆動甚小型高圧電源を内蔵し、埓来品に比べ玄1/3の容積にしたモゞュヌルがラむンナップされおいる。モゞュヌルには、機噚蚭蚈の自由床を考慮しお、奥行きが薄いタむプ「H12402」シリヌズず幅が狭いタむプ「H12403」シリヌズがある。アッセンブリは、駆動甚高圧電源を接続するこずで動䜜し、怜出郚を極力小さくしお機噚に組み蟌みやすくしおいる。モゞュヌルは、+5Vの䜎圧電源を接続するこずで動䜜するので、PMTの扱いに慣れおいないナヌザヌなどにも䜿い易くなっおいる。

マルチアルカリ光電面マむクロPMTの䞻な仕様は、有効面1mm×3mm、量子効率20%(最高感床波長420nm)、増倍率10䞇倍以䞊ずなっおいる。マルチアルカリ光電面は、昚幎11月にサンプル出荷が開始された可芖域に感床を持぀バむアルカリ光電面ず䞊びPMTの代衚的な光電面である。マルチアルカリ光電面は、アンチモン(Sb)にナトリりム(Na)、カリりム(K)、セシりム(Cs)を反応させたもので、300850nmたで広い波長域に感床を持ち、分光光床蚈やバむオ・遺䌝子関連分野での蛍光蚈枬など幅広い甚途に利甚されおいる。バむアルカリ光電面は、SbにK、Csを反応させたもので可芖域に感床を持っおいる。この光電面の分光感床特性は、ペり化ナトリりム(NaI(Tl))シンチレヌタの発光波長ず良く䞀臎しおいるこずから、シンチレヌションカりンティングによる攟射線蚈枬などに広く応甚されおいる。

PMTは、極埮匱な光の粒(フォトン)たでを怜出する光センサで、物理や生物など最先端のサむ゚ンスの発芋で圹に立っおいる。通垞の補品は、小型のもので盎埄1.5cm、長さ5cm皋床の筒状の真空管で、ガラス管の䞭に光電面ず電子増倍郚、陜極で構成されおいる。埓来のPMTは、電子増倍郚などを構成する数十点もの郚品を1本ず぀人の手で組み立おおいたために、量産察応や小型化が困難だった。マむクロPMTは、シリコン基板を2枚のガラス基板で挟み蟌んだ、わずか3぀の郚品で構成されたシンプルな3局構造で、シリコン基板を゚ッチングで削り、埓来の電子増倍郚の電極配眮ず同様な構造を高い粟床で圢成できる。性胜も、埓来の光電子増倍管ず同じ真空管で同じ動䜜原理のため同皋床を確保。半導䜓補品ず同様にプロセス凊理する補造方法を採甚しおいるため、倧量受泚にも察応できる。今回、独自の半導䜓補造技術、電子軌道蚭蚈技術、真空気密パッケヌゞ技術、真空プロセッシング技術を総合的に利甚した。䞭でも、MEMS技術によるずころが倧きいずいう。゚ッチングでは900ÎŒmの深堀加工を実珟した。たた、MEMS技術の陜極接合を甚いおシリコン基板ずガラス基板を貌り合わせおいる。これらにより、小型、軜量で衝撃に匷いデバむスが実珟し、高性胜な携垯型分析機噚などの開発に最適ずしおいる。

マむクロPMTず䞀般的なPMTの暡匏図

マむクロPMTの具䜓的な応甚䟋ずしおは、小型分析機噚や、迅速蚺断キットを甚いお患者の近くで蚺療䞭に簡単に枬定でき、病院内の怜査宀で行う怜査ず同じ結果を埗られるPOCT(臚床珟堎即時怜査)が想定される。䟋えば、開業医の蚺察宀や病棟の入院患者のベッドサむドで患者の目の前で行う怜査、病院の救急救呜センタヌや手術宀での患者モニタヌなどがある。POCTは、迅速怜査だけでなく、治療の過皋や予埌のモニタリング、携垯機噚が開発されれば、健康維持のための予防に圹立ち医療費の削枛に぀ながる。たた、蚊に吞われた皋床の量で血液怜査ができるようになるこずで、患者負担が軜枛されるずずもに、怜査時間も倧幅に短瞮される。このように、POCTは、医療費削枛や医療の質の向䞊が期埅されおいる。

たた、生化孊分析においおは、詊隓管や容噚あるいはキャピラリヌ(毛现管)に代わる、固䜓の衚面に配列したナノ構造䜓が開発され、医療怜査機噚の小型化・高機胜化が進んでいる。Ό-TAS(Micro-Total Analysis Systems:埮小化孊分析システム)は、MEMS技術を甚いお、チップ䞊に埮小な流路や反応宀、混合宀を蚭け、1぀のチップもしくはデバむスで血液やDNAをはじめ、さたざたな液䜓や気䜓を分析する生化孊分析デバむスであり、マむクロPMTはΌ-TASにも有甚ずいう。

ÎŒ-TASに応甚されたマむクロPMTの抂念䟋

さらに、DNAマむクロアレむなどにより、数十䞇の遺䌝子発珟を瞬時に網矅的に取埗できる研究が進められおいる。これが実甚化されれば、遺䌝子で個人の䜓質を蚺断し、個人の遺䌝子情報から医薬品の有効性や副䜜甚の出ない量などを調べ、個人に適切な薬を適量投䞎しお治療を行なうこずや、個人の䜓質に合った病気の予防をするテヌラヌメヌド医療が実珟する。テヌラヌメヌド医療により、副䜜甚による医療費の節枛、病気の重症化の回避、重症化によっお働けなくなるこずも避けられるため瀟䌚犏祉費甚の節枛、生掻の質の向䞊、劎働力の確保にも぀ながっおいくず考えられおいる。マむクロPMTは、DNAマむクロアレむの光センサずしおも有甚である。

䞀方、氎質や倧気などの環境枬定甚分析機噚は、倧型で高䟡なものだったが、近幎、モバむル分析機噚が補品化され始めおいる。環境枬定の察象ずしおは、近幎関心が高たっおいる攟射線蚈枬をはじめ、健康ぞの圱響が懞念される埮小粒子状物質PM2.5、雚氎、河川氎、土壌氎などの環境氎、補造工皋で䜿われる廃氎、自動車の排出ガス、工堎の排煙、廃棄物の焌华排ガス、火山掻動や黄砂の粉塵など様々である。これらに含たれる倚成分な物質を、オンサむト(珟堎)でリアルタむムに、高速で高粟床、高効率に同時分離しお定量蚈枬するには、高感床でSN比の良い䜎ノむズな光センサが必芁ずなる。マむクロPMTは、環境モニタリング機噚にも圹立぀。

なお、䟡栌はマむクロPMTアッセンブリの「H12400-01-01」が7侇2450円、マむクロPMTモゞュヌルの「H12402-01/H12403-01」が8侇850円、マむクロPMTモゞュヌルの「H12402/H12403」が6侇900円。11月1日よりサンプル出荷を開始する。

「H12403」シリヌズ(å·Š)、「H12402」シリヌズ(䞭倮)、「H12400」シリヌズ(右)