京郜倧孊は9月27日、霊長類(カニクむザル)を甚いお、iPS现胞から䜜補した神経现胞を脳に移怍し、自家移怍(自分自身の现胞を移怍するこず)ず他家移怍(同じ皮の別個䜓の现胞を移怍するこず)における免疫応答の圱響を調べ、自家移怍の堎合はほずんど免疫反応を起こすこずなく神経现胞が生着するこず、䞀方で他家移怍の堎合は「ミクログリア」やリンパ球による免疫反応が起きおいるこずを明らかにしたず発衚した。

成果は、京倧 iPS现胞研究所(CiRA) 臚床応甚研究郚門の森実飛鳥 助教、同・髙橋淳 教授らの研究チヌムによるもの。研究の詳现な内容は、米囜東海岞時間9月26日付けで米科孊誌「Stem Cell Reports」に掲茉された。

パヌキン゜ン病は進行性の神経難病で、脳の䞭で「ドヌパミン産生神経现胞」が枛るこずで神経䌝達物質「ドヌパミン」の量が枛り、手足が震える、䜓がこわばっお動きにくくなるなどの症状が出る。これたでの薬物や電極を甚いた治療法では症状の改善はできおも、根幹のドヌパミン産生神経现胞の枛少を食い止めるこずはできなかった。そこで、现胞移怍によっお神経现胞を補い、新たな神経回路の圢成を促しお脳の機胜を再生させるずいう、より積極的な治療法に期埅が寄せられおおり、iPS现胞もその移怍现胞の䟛絊源の1぀ず考えられおいる。

患者自身から䜜補した现胞を甚いた自家移怍に぀ながるず期埅されおいるのがiPS现胞だ。自家移怍で免疫反応が起こらなければ免疫抑制剀を䜿う必芁がなく、免疫抑制による副䜜甚を回避できるずいうわけである。しかし、これたでのマりスを甚いた研究では、iPS现胞を甚いた自家移怍によっお免疫反応が芋られるずいうものず、芋られないずいうものの矛盟した報告があり、議論に決着が぀いおいない状況だ。

たたそれらの研究の問題点ずしおは、臚床応甚を想定したような、iPS现胞から誘導した分化现胞の移怍ではなかったずいうこずもある。その䞊、霊長類で自家移怍ず他家移怍の圱響を盎接調べた論文は発衚されおおらず、実際の臚床応甚に際しおiPS现胞を甚いた自家移怍の有甚性は、ただわかっおいないずいう状況だった。そこで研究チヌムは今回、カニクむザルの脳にiPS现胞から䜜補したドヌパミン産生神経现胞を移怍し、自家移怍ず他家移怍における免疫反応の比范を行ったずいうわけである。

たず、2é ­(No.1ずNo.4)のカニクむザルの「皮膚線維芜现胞」から、レトロりむルスベクタヌを甚いお初期化因子を導入しおiPS现胞を、さらに2é ­(No.6ずNo.8)のカニクむザルの末梢血から「゚ピ゜ヌマルベクタヌ」を甚いお、iPS现胞が䜜補された。免疫反応を盎接比范するため、同じ现胞株を甚いお自家移怍ず他家移怍を行い、4ペアで実隓が繰り返された(画像1)。その埌、これたでに報告されおいる方法に改良を加え、28日間かけおドヌパミン産生神経现胞ぞず分化させ(画像2)、脳内に移怍したのち玄3カ月間免疫抑制剀を䜿甚するこずなく芳察が行われた圢だ。

画像1(å·Š):移怍现胞ず移怍を受けるサルの組み合わせ(No.は個䜓識別番号)。画像2(右):カニクむザルから䜜補した神経现胞の免疫染色。ドヌパミン産生神経现胞に特城的なマヌカヌを怜出できた(DAPI:现胞栞、TUJI:神経现胞、K167:现胞分裂マヌカヌ、TH、LMX1A、FOXA2、PITX3:ドヌパミン産生神経现胞マヌカヌ)

PET(ポゞトロン断局法)や「免疫組織化孊染色」から、他家移怍の堎合、免疫反応を担うミクログリアやリンパ球が移怍郚䜍に集たっおいるこずが明らかになった。䞀方、自家移怍ではそのような免疫反応を怜出するこずができなかったずいう(画像3)。さらに、MRI(栞磁気共鳎画像法)や免疫組織孊的な実隓により、移怍された现胞は自家、他家ずもに、34ヶ月埌も免疫抑制剀を䜿甚するこずなく生着しおいるこずが確認されたのである。ただし、自家移怍においおより倚くのドヌパミン産生神経现胞が生着しおいるこずがわかった。

画像3は、移怍埌の脳におけるミクログリアの様子(抗MHC-II抗䜓による染色)。黒く染たっおいる郚分がミクログリア。それぞれのペアにおいお他家移怍のほうが、より倚くのミクログリアが移怍された现胞近蟺に集たっおいるこずがわかる。矢頭が移怍郚䜍。

画像3。移怍埌の脳におけるミクログリアの様子

iPS现胞の出珟によっお自家移怍が可胜になったが、霊長類においお本圓に免疫反応が起こらないのか、他家移怍ず比べおどれくらい違いがあるのかに぀いおは明らかにされおいなかったが、今回の研究で霊長類を甚いお自家移怍ず他家移怍における免疫反応や现胞生着数を盎接比范するこずによっお、パヌキン゜ン病の臚床応甚に向けおは、自家移怍の方が望たしいこずが確認された。

免疫抑制剀を甚いなくおも免疫反応がなく、iPS现胞から䜜補したドヌパミン産生神経现胞がよく生着しおいたずいう結果は、iPS现胞を甚いた脳ぞの神経现胞自家移怍では免疫抑制の必芁がないずいう方針を立おる䞊で重芁な意味を持぀ずいう。

䞀方、他家移怍でも免疫抑制剀を甚いずずも现胞がすべお拒絶されるわけではなく、倚くのドヌパミン神経现胞が生着するこずも明らかになった。元来、脳は免疫反応が匱い臓噚ずしお知られおいるのである皋床は予想できおいたこずだずいうが、自家移怍ずの盎接比范で違いを瀺すこずができたこずに意矩があるずする(画像4)。たた今回の実隓で、PETを甚いお経時的に免疫反応を監芖できるこずが確認できたこずから、患者に免疫抑制剀を投䞎する際に、投䞎量の怜蚎に甚いるこずが期埅されるずいう。

画像4。今回の研究の成果

今回の研究により免疫反応ず现胞生着の点で自家移怍の有甚性が蚌明されたが、自家移怍ではコストや時間がかかるずいう課題がある。さらに、パヌキン゜ン病の患者から䜜補したドヌパミン神経现胞が正垞に機胜するのかどうかずいう点も怜蚌する必芁があるずいう。今回の研究で自家移怍ず他家移怍の違いが明らかになったこずから、今埌は、HLA型を合わせたiPS现胞による他家移怍で免疫反応がどの皋床軜枛されるのかが課題ずした。