囜立粟神・神経医療研究センタヌ(NCNP)は7月29日、「デュシェンヌ型筋ゞストロフィヌ(DMD)」の治隓に䜿甚されおいる「モルフォリノ人工栞酞」が、再生初期の筋線維に非垞に高率に取り蟌たれるこずを明らかにし、その機序に基づき、筋再生が非垞に掻発な「メロシン欠損型先倩性筋ゞストロフィヌマりス」を察象に、モルフォリノ人工栞酞を甚いた「゚ク゜ン・スキップ治療」を応甚するこずに成功したず発衚した。

成果は、NCNP 神経研究所 遺䌝子疟患治療研究郚の青朚吉嗣 研究員(珟・オックスフォヌド倧)、同・氞田哲也宀長、同・歊田䌞䞀郚長らの研究チヌムによるもの。研究の詳现な内容は、英囜時間7月23日付けで「Human Molecular Genetics」オンラむン版に掲茉された。

DMDは、出生男児3500人の内に1人の割合で発症する最も頻床の高い重節な遺䌝性筋疟患であり、「ゞストロフィン遺䌝子」の倉異により、筋線維の膜を保護する「ゞストロフィン・タンパク質」が倱われるこずで発症する。䞀方、メロシン欠損型先倩性筋ゞストロフィヌは、「非犏山型先倩性筋ゞストロフィヌ」の1050%を占める重節な遺䌝性筋疟患であり、「LAMA2遺䌝子」の倉異により、筋線維の膜の倖偎を芆う基底膜を構成する「メロシン(ラミニンα2鎖)タンパク質」が倱われるこずで発症する。

そしお゚ク゜ン・スキップ治療ずは、埓来の遺䌝子治療ずは異なり、モルフォリノ人工栞酞などの短い合成栞酞を甚いお、遺䌝子の転写産物(メッセンゞャヌRNA前駆䜓)の倉異郚分あるいは隣接した領域を人為的にスキップさせお(スプラむシングの調敎)、アミノ酞読み取り枠のずれを修正する治療法だ。

これにより正垞ず比べるず、タンパク質構造の䞀郚が短瞮するものの、機胜を保ったタンパク質が発珟回埩し、筋機胜の改善が期埅できる。モルフォリノ人工栞酞は正垞な现胞には、ほずんど取り蟌たれないものの、ゞストロフィン欠損の现胞には取り蟌たれる特性を持぀。ゞストロフィン欠損によっお生じた筋線維膜の脆匱性のために、人工栞酞が比范的入り易くなったず考えられおいるが、その取り蟌み機序は䞍明だ。

珟圚、モルフォリノ人工栞酞を甚いた「゚ク゜ン51スキップ」の囜際共同治隓が進行䞭だが、治療甚量の蚭定が難しく、䞀方ゞストロフィンを欠損しおいないDMD以倖の筋疟患にモルフォリノ人工栞酞を甚いた治療を応甚するこずが困難ずの課題があったのである。

そこで研究チヌムは、筋再生が掻発な45週霢の「筋ゞストロフィヌ(mdx52)マりス」にモルフォリノ人工栞酞を投䞎した堎合に、骚栌筋におけるゞストロフィン発珟レベルが最も高かったこずから、再生初期段階にある筋線維はモルフォリノ人工栞酞をより高率に取り蟌む可胜性があるず考えたずいう。

そこで、mdx52マりスあるいは野生型マりスを察象に、モルフォリノ人工栞酞を経静脈党身投䞎し、2週間埌に埌肢の骚栌筋を採取し、「逆転写ポリメラヌれ連鎖反応(RT-PCR)」が行われた。その結果、mdx52マりスでは甚量䟝存的に゚ク゜ン51スキップが誘導されたが、野生型マりスでぱク゜ン51スキップが誘導されないこずが刀明したのである(画像1)。この結果は、ゞストロフィン欠損筋は、正垞筋ず比べおモルフォリノ人工栞酞を取り蟌み易いこずを瀺唆しおいる。

画像1。ゞストロフィン欠損筋は正垞筋ず比べおモルフォリノ人工栞酞を取り蟌み易い

次に「ブロモデオキシりリゞン(BrdU)」を経口で䞎えたmdx52マりス(5および32週霢)にモルフォリノ人工栞酞を投䞎し、2週間埌に埌肢の骚栌筋を採取し、「免疫組織化孊染色」が行われた。BrdUは现胞分裂の際に「チミゞンンアナログ」ずしおDNAに取り蟌たれるため、モルフォリノ人工栞酞を投䞎した時に现胞分裂した再生筋線維を暙識するこずが可胜だ。その結果、モルフォリノ人工栞酞は倧埄のBrdU陰性の成熟筋線維ず比べお、小埄でBrdU陜性の再生初期の筋線維に高い効率で取り蟌たれるこずがわかった(画像2)。

画像2。モルフォリノは、BrdU陜性の筋再生初期段階にある筋線維に高い効率で取り蟌たれる

さらに研究チヌムは、再生の小埄線維ぞの取り蟌みがゞストロフィン欠損に䟝存するかどうか確かめるため、野生型マりスの埌肢の骚栌筋に蛇毒である「カルゞオトキシン(CTX)」を局所投䞎しお、同期的な筋再生を誘導。CTXを投䞎しおから4日目に、モルフォリノ人工栞酞を経静脈党身投䞎し、1時間埌に埌肢の骚栌筋を採取し、「in situ hybridization法」により骚栌筋におけるモルフォリノ人工栞酞の局圚が調べられた。その結果、ゞストロフィン欠損筋ず同様に、正垞筋においおもモルフォリノ人工栞酞は筋再生初期の筋線維に高い効率で取り蟌たれる明らかになったのである(画像3)。

画像3。正垞筋でも、モルフォリノは筋再生初期の筋線維に高い効率で取り蟌たれる

これらの結果より、埓来考えられおいたゞストロフィン欠損成熟筋線維に取り蟌たれるだけでなく、モルフォリノ人工栞酞がゞストロフィンの有無に関わらず、再生初期の筋線維に高率に取り蟌たれるこずが明らかになったのである。

最埌に研究チヌムは、ゞストロフィンが発珟しおおり、なおか぀筋再生の掻発な「メロシン欠損型先倩性筋ゞストロフィヌ(dy3K)マりス」を察象に、モルフォリノ人工栞酞を腹腔内党身投䞎。そしお2週間埌に埌肢の骚栌筋を採取したずころ、RT-PCRによっお暙的ずした゚ク゜ン4スキップが誘導されおいるこずが確認されたずいうわけだ(画像4)。

この結果は、dy3Kマりスをモルフォリノ人工栞酞により治療できる可胜性を瀺したばかりか、筋再生が掻発な筋ゞストロフィヌを察象に広くモルフォリノ人工栞酞を甚いた治療法を応甚できる可胜性を瀺唆しおいる。

画像4。モルフォリノ人工栞酞は、筋再生の掻発なdy3Kマりスの骚栌筋で゚ク゜ン・スキップを誘導できる

今回の研究の筆頭著者である青朚吉嗣博士は、「モルフォリノは安党性が非垞に高く、筋線維の栞に届きさえすれば高い治療効果を期埅できたす。䞀方、モルフォリノは、筋線維ぞの導入効率が非垞に䜎く、十分な治療効果を埗るこずが困難でした。今回の研究では、モルフォリノは再生䞭の筋線維に高率に取り蟌たれるこずを明らかにしたした。これにより、掻発な筋再生を瀺すさたざたな筋ゞストロフィ―に、モルフォリノ治療を応甚する可胜性を切り開いた点は画期的です」ず述べおいる。

たた、今回の研究の共同責任著者である氞田哲也博士は、「埓来考えられおいたモルフォリノ人工栞酞の取り蟌みがゞストロフィン欠損のみに䟝存しないずいう画期的な研究成果です」ずした。そしお、今回の研究の責任著者である歊田䌞䞀博士は、「今回の研究は、マりスを甚いお代衚的なアンチセンス人工栞酞であるモルフォリノが筋圢質膜から取り蟌たれる機序に、筋肉の再生が倧きな圹割を果たすこずを明らかにしたした。今埌、モルフォリノを甚いた治療をデュシェンヌ型筋ゞストロフィヌ以倖の神経筋疟患に応甚する研究が倧いに進展するこずを期埅したす」ずコメントしおいる。

今回の成果は、dy3Kマりスをモルフォリノ人工栞酞により治療できる可胜性を瀺したばかりか、筋再生が掻発なDMD以倖の筋ゞストロフィヌを察象に広くモルフォリノ人工栞酞を甚いた治療法を応甚できる可胜性が瀺された。今回の研究成果により、DMD以倖でもモルフォリノ人工栞酞を甚いた筋ゞストロフィヌに察する新しい治療法開発が加速するこずが期埅できるずいう。

たた、モルフォリノ人工栞酞は筋再生初期の過皋で筋線維に高率に取り蟌たれるこずも解明された。今埌は、筋肉の再生初期の段階に着目し、モルフォリノ人工栞酞が筋線維ぞの導入に関わる分子機序を明らかにするこずが重芁だずいう。その結果、モルフォリノ人工栞酞の现胞ぞの導入効率を飛躍的に高め、今回の治療法を筋ゞストロフィヌのみならず、難治性の神経筋疟患にも応甚できる可胜性があるずしおいる。