Analog Devices(ADI)は2月27日、フォトカプラやシャント・レギュレータを用いた既存アイソレーション技術に比べ、より高性能な1チップソリューションを実現可能なアイソレーション型・誤差増幅アンプ(絶縁型リニア・エラーアンプ)「ADuM3190/4190」を発表した。

これらの製品は、さまざまな工業用機器などで必要とされる最小1Vから最大48V出力に対応したスイッチング電源向けアンプで、同社のデジタルアイソレーション技術「iCoupler」を採用することでフォトカプラやシャント・レギュレータに比べ、最大25%のコスト削減や最大25%の小型化、最大65%の電力削減、帯域幅が10倍となる最大400kHzによる過渡応答の向上、そして最大125℃の動作保証を実現しており、これにより、CTR(電流伝達率)の過補償を不要とすることによる精度向上などを実現している。

従来ソリューションとADuM3190/4190を用いた場合の1次サイドコントローラにおける性能の概要比較

1.225Vのリファレンス電圧を内蔵しているほか、DOSA(Distributed-power Open Standards Alliance)規格への準拠により、AC/DC電源やDC/DC電源の設計者に従来比5倍以上の高速性能と-40℃~+125℃の動作温度範囲で1%の精度保証を提供するという。

使用例(ブロック図)

なお、ADuM3190シリーズはアイソレーション定格が2.5kVrmsで、ADuM4190シリーズが同5kVrmsとなっており、それぞれ、最大動作温度(85℃ or 125℃)や帯域幅(200kHz or 400kHz)によって4製品(2シリーズで合計8製品)が提供されている。すでにADuM3190シリーズは量産出荷を開始しており、ADuM4190シリーズも2013年4月より量産出荷を開始する予定。価格は1000個受注時でADuM3190シリーズが1.04ドルから、ADuM4190シリーズが1.20ドルから(いずれも参考価格)となっている。

従来ソリューションとADuM3190/4190ソリューションの各種性能比較

右がアナログのアイソレータ。左の中心のハイブリッド・デジタルアイソレータとその下のチップがデジタルアイソレータ。ADuM3190/4190はチップサイズ4mm×5mmで、この写真のチップよりもさらに小さいながらも、高性能になっている