年度末も押し迫り、『そろそろ来年度の事を考えないと…』というこの時期になると、否が応でも思い出さなくてはいけないのが「確定申告」だ。SOHOや個人事業主にとっては気が重い作業だし、実はまだ何もやっていないという人も多いだろう。

そこで今回は、ズボラな人でもなんとか青色申告に間に合わせるための便利なツールである申告ソフトを使った確定申告について説明していこう。

はじめにSOHOや個人事業主が青色申告をするメリットを、もう一度おさらいしておこう。いろいろなメリットがあるが、大きく分けると4つある。

ひとつは「最高65万円までの所得控除が得られる」という点だ。ここでいう所得控除は2種類あって、申告ソフトを使って総勘定元帳と賃借対照表を作成していれば、特別経費として65万円まで控除できる。手書きのノートに現金の動きだけをメモしている場合でも、10万円までは控除可能だが、金額だけを見ても断然申告ソフトを使った方がより有利になることは明白だ。

2つ目は「家族への給与は必要経費」にすることができる点。これにもいくつかルールがあり、事業の専従者であること、事業に半年以上(6カ月以上)従事していること、事業主と同居の家族、親族で15歳以上であること、そして給与の額が適正であることといったところに当てはまらないとならない。もちろん、「青色申告専従者給与に関する届出書」を提出していなければならないが、配偶者控除、扶養控除(給与支払いをすると受けられない)としなくても節税が可能なのであれば、十分検討に値するといえるだろう。

3つ目として「30万円未満の減価償却資産は一括経費にできる」という点もある。例えば、10万円以上30万円未満の設備投資が発生しやすい事業の場合、耐用年数に従い毎年減らしていく資産価値とせずに、一括してその年に償却できるので節税効果が非常に高いのだ。

4つ目は、お世辞にも景気が良いと言えない世相を見ているとみなさんも不安になると思うが、青色申告をしているかぎり「赤字が発生しても損失を繰り越すことができる」というメリットもある。「3年に渡り」という条件は付くが、前年度が大赤字で翌年度に大きく売り上げを伸ばすことができた場合などでも、その年の納税額を軽減することが可能になるのだ。

このように青色申告のメリットはいろいろあるが、最後に忘れてほしくないのが、「青色申告の申請をしても、白色申告で済ませることも可能」という部分だ。青色申告をするような利益が上がらない、あるいはやっぱりどうしても面倒などと思ってしまったとしても、「じゃあ、今年は白色申告でいいか」という逃げ道も用意されているのだ。

したがって、現在白色申告をしている人でも、"とりあえず"でもよいから青色申告の申請だけはしておいたほうが断然お得だ。なぜ"とりあえず"を強調するかというと、「所得税の青色申告承認申請書」の翌年分の申請はその年の3月15日までとなっているからだ。

青色申告の申請をしていないと、年末頃になって「今年から青色申告にしようかな!」と思っても手遅れということになってしまうのである。申請するだけなら何のデメリットも無いので、ぜひ申請書だけは提出しておいて欲しい。

青色申告の概要は国税局のHPがわかりやすい