青色申告に必要な書類や帳票はそれほど多くはない。書類としては「損益計算書」と「賃借対照表」を作成する。そして帳簿として「現金出納帳」「経費帳」「売掛・買掛帳」「固定資産台帳」などが必要となる。

もちろん、これらの仕組みをきちんと理解して簿記の知識を得るという意気込みさえあれば、全部自力で作成することも可能だ。

実は筆者も相当のズボラなほうで、決してマメではない。そういう性格を自己分析しているからこそ、面倒なことはソフトウェアに任せてしまっているのである。

幸いなことに申告ソフトを使えば出入金管理は楽になる。こういう機能を使いこなす方が、簿記を覚えるより簡単なはずだ。先に述べた書類や帳票類にしても出入金をきちんと申告ソフトに入力しておけば、決算のときに一括で出力すればよいだけだ。青色申告だからといって慌てたり、簿記に対して敷居の高さを感じないで済むのもソフトを使うメリットだろう。

申告ソフトなら、一年間のお金の流れを入力すれば損益計算書や賃借対照表のほか、青色申告に必要な書類を自動的に作成してくれる(画面は「やよいの青色申告13」)

現金の流れはきちんと管理してる?

さて、実際に申告ソフトを使う前にチェックしておきたいことがある。これは先ほども少し触れたが、「入ってくるお金」と「出ていくお金」の十分な管理だ。

入ってくるお金に関しては、現金による収入か、それとも銀行振り込みか、という違いがある。理想としては現金で受け取った収入も一度銀行口座へ入金するのが管理を楽にするコツといえる。

出金に関しては実に様々な種類がある。水道光熱費、家賃、食事、交通費……などなど。数え始めたらキリがないが、それぞれの支払い時に必ず領収証を貰うようにすれば、後からでも入力していける。水道光熱費のように分かりやすいものは良いが、食事や接待で支払ったお金や、ちょっとした買い物に使ったお金に関する領収証には日付、宛名、但し書きを入れてもらうのを忘れないようにして欲しい。後からどんな内容で支払ったのか分からなくなるのは、大抵そうした種類の領収証なので注意が必要だ。

また、水道光熱費や通信費の場合は銀行口座からの引き落としサービスをしている事が多い。特に何もせずとも銀行口座に履歴として残るので正確性も保たれる。面倒な入力を減らしたい人にはうってつけなので、なるべく事前に申し込んでおくのがオススメだ。

同様に会社名義でクレジットカードが作れるのであれば、食事や接待、ちょっとした買い物などの支払いを一括管理することも可能になる。この場合、控えのレシートと、クレジットカード会社からの請求明細を保管しておけば、正式な資料として活用できるので、現金での支払いとうまく使い分けるとよいだろう。

この他、業種によって細かなコツはあると思うが、SOHO、個人事業主の青色申告において、出入金をきちんと管理する最大のコツは「個人用と事業用の出入金をきっちり分ける」ことに尽きる。どうしても、「事業の収入=生活費」と考えがちになるので、ここがあやふやになると、いかに優秀な申告ソフトを導入しても上手くいかなくなってしまう。経費にする、しないはハッキリと、逆に経費にできるのに入力しないでいるのも勿体ないことになってしまうので、どこで線を引くかは事前に十分検討しておいて欲しい。

入力については、ウィザード方式で行えるソフトであれば、仕事で発生した資金の流れをきちんと管理しておけば、あとは案内にしたがって入力するだけだ。

申告ソフトにある「ナビゲーター」画面を使えば、ほとんどの入力はウィザード方式で行える。仕事で発生した資金の流れをきちんと管理しておけば、あとは案内にしたがって入力するだけで簡単だ

やよいの青色申告の場合、ナビゲーターの「取引」タブにある「簡単取引入力」を選択すると簡単取引入力画面が起動する。「現金取引」「預金取引」「売掛取引」「買掛取引」と、日常で最も多く使う項目が、すべてこの画面内で操作できる。入力方法も簡単なので、まずはこういった画面に慣れることから始めるとよいだろう