アドビ システムズから、ユーザー待望となるiPad用Adobe Touch Appsシリーズ「Adobe Photoshop Touch」、「Adobe Proto」、「Adobe Collage」の3製品が登場した。本アプリ群は、Android版が先行リリースされており、iPad対応バージョンの登場を心待ちにしていたユーザーも多いはず。今回は、そんなiPad用Adobe Touch Appsの主要機能をピックアップし、それぞれ簡単に紹介していこう。

Adobe Photoshop Touch(価格:850円)

「Adobe Photoshop Touch」は、クリエイターの必須アイテムであるPhotoshopのコア機能とタッチ操作に最適化されたユーザーインタフェースを使用し、高度な画像編集などをiPad上で快適に行えるアプリ。アプリを起動すると、あらかじめアプリに収録されているチュートリアルを確認することができる。一方、新しい「プロジェクトを開始」したい場合は、アプリ起動時のスタート画面の中央下部の「新規空白プロジェクト」ボタン、または「画像から新規作成」ボタンをタップするだけ。Photoshopでお馴染みの編集メニューやレイヤー、エフェクトなどの機能も取り揃えられているので、Photoshopユーザーなら直感的に各種ツールを理解し使いこなすことができるだろう。

アプリ起動時のスタート画面には、「チュートリアル」および「はじめに」のふたつの選択項目が表示されている。完全日本語化されたチュートリアルでは、機能ごとに手順を追って操作方法を簡単に学ぶことができる

画面右上に用意されたメニューアイコンには、移動/変形、調整、エフェクト、編集、サイズ、テキストの変更などが配置される。「落書き選択ツール」、「境界線を調整」などタッチ操作を生かした機能も用意する

Adobe Collage(価格:850円)

「Adobe Collage」は、Adobe Touch Appsや「Adobe Creative Suite」などで作成された様々な素材(画像、図、ビデオ、テキストなど)を組み合わせ、クリエイティブなムードボード(イメージ)を構築できるアプリ。ムードボードには、PDFファイルやAdobe PhotoshopおよびIllustratorのファイル、さらにネット上のGoogleやFlickrの画像など、多彩な素材を作品に取り込めるのも大きな魅力だ。完成したムードボードのデータ(.colz)は、Adobe Creative Cloudをアップロードすることで、Adobe Photoshop CS6へ読み込み(PSDファイルに自動的に変換)も可能だ。さらにイメージに高度な編集を加えられるので、作品のアイディア作りやプレゼンテーションなどにも重宝しそうだ。

「Adobe Collage」を起動すると、スタート画面にあらかじめ収録された「サンプルコラージュ」(3種)が表示される。編集画面は、右側下部にあるボタンで、背景パターン(9種)および背景色の選択が行える

iPadおよびネット上の保存された複数の画像を、ひとつのイメージとしてテキストやドローイングと共に自由に組合せられる。読み込まれた画像をダブルタップすれば、素早くトリミングやマスクなどの画像編集も可能

Adobe Proto(価格:850円)

特徴的なタッチジェスチャーにより、Webサイトとモバイルアプリのインタラクティブワイヤフレームとプロトタイプを作成できるデザインアプリ。「Adobe Proto」には、多種多様なワイヤフレームや各種コンポーネントが内蔵されており、それらを組み合わせWEBサイトやアプリケーションのモックアップデザインを構築可能となっている。アプリ内には、WEBサイトやモバイルサイトなどのワイヤーフレーム(7種)が「サンプル」としてあらかじめ収録されている。また、アプリ起動時のスタート画面の中央下部にある「新規ワイヤーフレーム」ボタンをタップすることで新たなデザインが行える。はじめに、WEB、タブレット、モバイルなど目的にあったテンプレートを選択したら、画面左側のツールパレットから、各要素を選択しワイヤフレーム上に配置していくだけ。こうして作成したワイヤフレームは、最新のWebKitとjQueryによりアプリ内にてプレビューが行えるほか、「Adobe Creative Cloud」と同期してAdobe Dreamweaver CS6へのエクスポートにも対応する。

テキストやDIV、画像、動画、フォーム、ウィジェットなどのパーツをパズルのように組み合わせ、CSSグリッドシステムを使ってワイヤフレームの構築が行える。ひとつのデザインプロジェクト内で、メニューなどのリンクを含め、複数ページの管理にも対応できる

「Adobe Proto」に用意された専用のストロークジェスチャーは全部で15種類。画面に「バツ」、「サンカク」、「波線」のジェスチャーを描くだけで、次々とデザイン要素が追加されていき作業効率が抜群に高い!

まとめ

今回、3つのiPad版Adobe Touch Appsを試用してみたが、基本的にアプリ内の各種機能や操作方法は、先行してリリースされたAndroid版とまったく同様に再現されていた。これは、iPadとAndroidタブレットを併用するようなユーザーにとっては、新たに操作方法を覚える必要もなく、デバイスを途中で切り替えるなどしても違和感がないなどメリットとなるだろう。

その一方、iPad版とAndroid版のAdobe Touch Appsに差が感じられる部分は、デバイスの性能やOS仕様に関わる部分となるだろう。あくまで筆者が試用した環境でのことではあるが、ちょっとした画像の切り替わりや拡大縮小などの操作において、iPadではiOSならではの滑らかさがありストレスがなく、より快適に感じられた。

なお、今回は「Adobe Photoshop Touch」、「Adobe Collages」、「Adobe Proto」といった3種のアプリの紹介となったが、これらに加えて以前よりリリースされているデジタルスケッチパッドアプリ「Adobe Ideas」、今後リリースされる予定の「Adobe Kuler」および「Adobe Debut」により、iPad用Adobe Touch Appsシリーズのラインナップが完成することで、さらなる利便性と創造性の向上を期待できるはず。まだiPad対応版が出ていないAdobe Touch Appsに関しても、iPad版の登場が非常に楽しみだ。