日立製作所は4月23日、携帯機器におけるネットワークアクセスの高セキュリティ化を実現するセキュリティデバイス「KeyMobile」の後継製品として、従来同様のセキュリティレベルを維持しながらmicroSDカードサイズへと小型化を図った「KeyMobileMSD」を開発、4月25日より販売を開始することを発表した。

KeyMobileは2005年に発売されたRS-MMC(Reduced Size-Multi Media Card)と同形状のカードを利用した認証デバイス。今回発表されたKeyMobileMSDはプロセスの微細化などによる素子の小型化と、現在ニーズの高いmicroSDカードへの対応を図ることを目的に開発された。

KeyMobileMSD。形状はmicroSDカード

従来のKeyMobile。USB端末に挿して使用する必要があった

microSDサイズに金融機関などのICカードに用いられる耐タンパ性に優れたセキュリティレベル(情報セキュリティ国際評価基準「Common Criteria(CC)」の保証レベル4+(EAL4+)認定を取得)の高いICチップ(EEPROM約80KB/RAM6KB/JavaCard 2.2.2/T-1)とドライバやミドルウェア格納用のフラッシュメモリ(2GB)を収めてあり、ICチップ内にPKI(公開鍵暗号基盤)機能で使用する電子証明書を最大5つまで格納できるほか、PIN(Personal Identity Number)の設定が可能だ。

また、専用のカードリーダーを経由することなく、一般的なmicroSDカードリーダやPCやスマートフォンのSD/microSDカードスロットに挿すことで利用することが可能。

KeyMobileMSDの3つの特長。ICカードと比べるとかなり小型化されたことがわかる

現在、対応はWindows XP Professional SP3もしくはWindows 7 Professional 32bit SP1で、64bit版Windows 7への対応も検討しているという。また、2012年度第2四半期中にはAndroidへの対応を予定しているほか、2012年10月にはKeyMobileMSDを挿したスマートフォンで、PCやタブレットなどの認証を可能とする「KeyMobileフォン(仮称)」の提供も予定している。さらに、2012年度第3四半期中にWindows 8対応を計画している。

OS各種への対応ロードマップ

KeyMobileフォン(仮称)の利用イメージ。スマートフォンを認証デバイスとしてPCやタブレットの個人認証と安全なネットワーク経路の確保を可能にする技術。無線ネットワークで各端末が接続され、接続が遮断されるとログオフ画面へと切り替わるといった対処も可能となっている

日立製作所 情報・通信システム社 セキュリティ・トレーサビリティ事業部 グローバルプロダクト本部の九野伸 本部長は、「スマートフォンやタブレットのビジネスシーンへの適用により、端末に保存されている機密情報の盗難や個人情報の漏えい、なりすましによる不正決裁、不正アクセスなどのリスクへの対応が求められるようになってきている。日立では、フィジカルセキュリティからサイバーセキュリティまでトータルに提供しており、今回の製品投入によりモバイルセキュリティソリューションを強化。海外に対しても、SIerなどと協力して展開していきたい」としており、今後の3年間で200億円の売り上げを目指すとしている。

日立製作所 情報・通信システム社 セキュリティ・トレーサビリティ事業部 グローバルプロダクト本部の九野伸 本部長。手に持っているのがKeyMobileMSD

なお、本体価格は1万7800円としているが、セキュアなソリューションとしてSIerなどからの提供が販売の中心となるとの見方を示すほか、SIMカード内にセキュア領域を用意し、同様のソリューションを実現したいというカスタマに対しても携帯電話キャリアと連携して対応を図ることも考えたいとしている。