日本には和傘職人や和紙照明職人、染職人など、伝統文化を受け継ぐ様々な匠が存在する。本企画は、そんな伝統的な世界でしのぎを削る若きクリエイターたちを13人連続で紹介していく。第5回は手染メ屋の青木正明を紹介する。インタビューの後半ではパソコンへのこだわりにも言及。パソコン選びに対し、"速くて(値段が)安いこと"を重要視すると答えた青木氏は、デルのUltrabook「XPS 13」にどのような印象を持っただろうか。

青木正明プロフィール

1967年生まれ。天然染料を使った手染めによる染め工房を主宰。Tシャツから着ものまで、草木で染められるものであれば何でも染める。ワコール退社後に益久染織研究所にて2年の修行の後、2002年に「手染メ屋」を開業。現在に至る。京都造形芸術大学非常勤講師を兼務。

仕事へのこだわり

――この仕事に就こうと思った年齢ときっかけは?

青木正明(以下、青木)「30歳。アパレル会社でサラリーマンをしていたが、その仕事が嫌で嫌で仕方がなくて草木染めの工房に逃げ着いて。あまり格好の良い動機ではありません」

――これまでで一番思い入れのある仕事は? その理由や思い出を教えてください。

青木「古代の色目を再現する染めの依頼を京人形師から受け、平安時代の文献を調べながら染めた『きくじん』という色目を着尺に染めあげたとき。その時期での自分の裁量のすべてを注いだ仕事であったが、同時に自分の不勉強さに自覚した事件でもあった」

――自身の作品を制作するにあたっての一番のこだわりとはどのようなものでしょうか?

青木「こだわり、という言葉はあまり好きではないので、こだわりはありません。その都度その都度、染め上げる色、作り上げるプロダクトが思い通り以上になるための作業を計画して、その作業をこつこつと積み上げるだけです。本当にただそれだけです。それだけやれば、誰だってできる事柄です。ただ、この計画を練る、その計画を実行するための段取りを考えて材料を集める、そして実際に実行することはとても困難ですが」

――これから取り組んでみたいこと、関わってみたい仕事は何ですか?

青木「この仕事を始めたときから変わらないけど、古代の色をもっと"ちゃんと"染め上げたい。ちゃんと染めるにはまだまだ勉強不足で研究不足。その準備をもっとしたい。だれか1日を30時間くらいにして下さい」

――愛用している道具や本、ものを教えてください。

青木「愛用している道具は鍋、染色棒、はかりなど。愛用している本は『日本古代の色彩と染』、『日本の色辞典』、『草木染 染料植物図鑑』」

――アイデアを練る場所、時間などを教えてください。

青木「仕事してる時に工房で。フリーの時はだらぁっとしていて集中していないのでアイデアは基本的には浮かびません」

――趣味やコレクションなど、いま、個人的にハマっていることを教えてください。

青木「トライアスロン」

代表作品

左から色無地 吊オーガニックTシャツ、絞り・締め 吊オーガニックTシャツ、染め無し生成 吊オーガニックTシャツ、筆描き 吊オーガニックTシャツ

DELL×日本の若き伝統職人13

デルがこのほど発売したUltrabook「XPS 13」は、スペックのみでなく表面のデザインが洗練されているなど、デジタル界の匠ともいえる非常にスタイリッシュな製品。日本の伝統文化を継承する若きクリエイターたちは同製品にどういった印象を持ったのであろう。

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――創作活動のどういった局面でパソコンを利用しますか?

青木「主には調べものをする際。ネットでズバリの情報が出てくることはあまりないが、調べる糸口を見つけるのには素晴らしく役立ってくれます。あとは古い文献を読むため。国会図書館の電子ライブラリーが素晴らしいので」

――仕事の上でパソコンがあって良かったと思ったエピソードもしくは今後の創作活動で活躍できそうなシーンを教えてください。

青木「創作活動ではないが、ウチはインターネットで顧客を探せるので今の商売が成り立っているようなものです。ネット時代でなければ食っていくことは難しかったと思います。あとは延喜式なんかの古文書が国会図書館の電子ライブラリーで無料で閲覧できること。借りれるような本ではないし、買ったら数十万するので」

――自分の選ぶパソコンの基準(こだわり)を教えてください。

青木「速くて安いこと」

――DELLから発売されたXPS13というUltrabookが出たのですが、日本の伝統を受け継ぐクリエイターからみて、この製品に対してどんな印象を持ちますか。

青木「軽そう。丈夫そう。使ってみたいです」

――持ち運びに便利な薄型ノートXPS13を使用して、今後の仕事で活用してみたいシーンを教えてください。

青木「色々なところで話をする機会が最近増えているので、自分の仕事内容をデータ化して持って行ってプレゼンツールとしてふんだんに使えるといいな、と思います。後は、出張先でも旅行先でもどこでも思い立ったらすぐに調べものができるのであれば素晴らしいと思います」