映画『スター・ウォーズ』や『アバター』の制作に多大なインスピレーションを与えたとされるエドガー・ライス・バローズのSF小説「火星のプリンセス」。その作品を原作とした映画『ジョン・カーター』が2012年4月13日に公開される。約100年前の原作を、なぜこのタイミングで映像化したのか、本作のプロデューサーであるジム・モリス氏に話を聞いた。

ジム・モリス
ピクサーのジェネラル・マネージャー。映画『カールおじさんの空飛ぶ家』をはじめ、『トイ・ストーリー3』、『カーズ2』、『Breve』など、すべてのピクサー映画を制作エグゼクティブとして手がける。ピクサー入社前はILMでゼネラルマネージャーを務め、『ジュラシック・パーク』、『フォレスト・ガンプ/一期一会』などでアカデミー賞を受賞している

――まず、この作品の制作期間を教えて下さい。

ジム・モリス(以下、モリス)「約4年かかりましたね。そのうち実際に撮影を行ったのは2009年1月~6月の6カ月間です。3カ月はロンドンで、残りの3カ月はユタの砂漠で撮影しました」

――本作の原作であるSF小説「火星のプリンス」は約100年前の作品です。なぜこのタイミングで映像化しようと思ったんですか?

モリス「最近のテクノロジーを用いることで、初めて原作に描かれている世界観や感覚、クリーチャーたちを正確に描けるようになると思ったんです。正直に言って、この映画を制作できるようになったのはここ4~5年のことだと思います」

――この作品で監督を務めたアンドリュー・スタントン監督は、これまで映画『ファインディング・ニモ』などのアニメーション作品を監督してきた方ですね。実写作品は本作が初めてとのことですが、起用した理由を教えてください。

モリス「確かに実写作品は初めてですが、彼にはフィルムメーカーとして、ストーリーテラーとしての大きな実績があり、力を持った人です。なので、もし彼に経験不足な分野があれば周りのスタッフのサポートによって映画を作っていこうと思いました。例えば、アニメーション作品ではあまり使わないプロダクションデザインや撮影監督などは経験豊かなスタッフを集め、彼をサポートしたわけです」

――本作ではCGで描くシーンもあったと思います。アニメーション監督ならではのセンスが役立ったのではないかと。

モリス「アニメの経験も彼を起用した大きな要因になったと思います。本作のアニメーションの分野に関して、彼が描けないとは誰も思わないでしょう。この映画にはアニメの部分も多く含まれているので、そういった意味ではやりやすかったと思います」

――本作のなかで注目してほしい視覚効果などはありますか?

モリス「この映画の成功は、サーク族のキャラクターやウーラに"いかに現実味を持たせられるか"にかかってると思っていたんです。簡単に言うと、"映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズに出てくるデイヴィ・ジョーンズを作り出す"ということです。あんな生き物がいるわけがないんですが、本当にいそうですよね。あのレベルに到達したいなと。なので、観客にデイヴィ・ジョーンズ同様、サーク族のキャラクターやウーラに同じような存在感を感じてもらい、"実際に、いてもおかしくないかもしれない"と思ってもらえるよう心がけました。そのため、顔の表情のモーションキャプチャーやキーフレームアニメーションなど、色々なテクノロジーを使いましたね。私が個人的に一番気に入っているのはクリーチャーの肌の質感です」

――近年のテクノロジーの進化により、原作の世界観がやっと表現できるようになったとおっしゃいましたが、本作ではCGの利用を極力控え、ロケーション撮影するよう心掛けたと聞きました。

モリス「説得力や現実感を追求しました。本作には、人間のキャラクターもデジタルなキャラクターも出てきます。これらを実際の地形を背景に登場させたかったんです。今の技術であれば、あらゆる環境をCGで再現できます。ですが、再現したものは何かちょっと違和感があるんですよ。それはどうしても否定できないことなんです。また撮影時の俳優たちの気持ちも違ってくるので、それが演技にも影響してくるんです。ですから、アメリカの南西部で撮影し、いくつかの実際の地形にCGを加えているんです」

戦争で妻子を失った元軍人のジョン・カーター(テイラー・キッチュ)はある不思議な現象により、未知なる惑星"バルスーム"に迷い込む。徐々にバルスームの民と心を通わせるジョン・カーター。しかし、この星は全宇宙を支配しつつある"マタイ・シャン"により滅亡に危機に直面していた。果たしてジョン・カーターとバルスームの運命は……

――最後に日本の若いクリエイターにアドバイスをお願いします。

モリス「まず、自分が将来どうなりたいかという明確なゴールを持ってください。そうすると日々の行動の選択がしやすくなると思います。また学校できちんと基礎から学ぶことも私は大切だと思います。なかには現場主義でどこかの見習いとして働き始め、現場で覚えろという人がいるかもしれません。確かに学校で学んだCGの技術は、最初の仕事では必要ないかもしれません。ですが、私の経験からすると、年を経ていくうちに学校で学んだことが必ず役に立つことがあるんです。なので、広い視野をもち、まずは学校できちんと勉強することが大切だと思います」

――ありがとうございました。

映画『ジョン・カーター』は、2012年4月13日より2D・3D同時公開予定。



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