東芝は1月6日、薄型テレビやデジタルカメラなどの民生機器や産業用ロボットなどの産業機器など幅広い組み込み用途向けに、ECC(Error Correction Code:エラー訂正回路)搭載の2値(SLC)技術を用いたNAND型フラッシュメモリ「BENAND」の新製品を発表した。同製品は4Gビットおよび8Gビットの8製品で、即日サンプル出荷を開始、3月以降順次量産する予定。

小容量のSLC NANDはシンプルなインタフェースと信頼性の高さから民生機器や産業機器のプログラム記録用メモリとして幅広く普及している。従来、メモリのエラー訂正回路は機器側に入っており、主に512バイト当たり1ビットの訂正ができる回路が搭載されていた。

昨今のメモリの微細化に伴い、必要とされるエラー訂正能力が高まっており、32nmプロセスのメモリに対応するECCでは512バイト当たり4ビット以上の訂正能力が求められている。そのため、ECCのない32nm世代以降のメモリを用いると、訂正能力を高めるため、機器側のコントローラ変更などが必要となるという課題があった。

このような背景の中、同社ではユーザー側の開発負担を低減し、タイムリーに最先端プロセスのNAND型フラッシュメモリが適用できるBENANDの新製品を開発した。

同製品は、同社SLC NAND型フラッシュメモリで先端の32nmプロセスを採用しながら512バイト当たり4ビットのエラー訂正能力を持ったECCを内蔵している。NAND側にECCを搭載することで、システム側のエラー訂正能力に関わらず、先端プロセスのフラッシュメモリが使用できるようになっている。

また、汎用的なNAND型フラッシュメモリインタフェースを採用した他、パッケージには48ピン TSOP(12mm×20mm×1.2mm)および63ball FBGA(9mm×11mm×1.0mm)を採用し、一般のSLC NANDと互換性を確保しているため、一般的なSLC NANDからの置き換えが容易となっている。

なお同社は、2012年の夏以降に24nmプロセスのNAND型フラッシュメモリを用いたBENANDの製品投入を計画している。BENANDの製品ラインアップを拡充することで、事業展開を加速するととともに、NAND型フラッシュメモリ市場の拡大を目指すとしている。

2値技術を用いた組み込み用ECC搭載NAND型フラッシュメモリ「BENAND」の製品写真