Texas Instruments(TI)は、3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震で被害を受けた茨城県美浦工場および福島県会津工場の復旧が進み、全面的な生産再開に向けて予定通りの進捗にあることを発表した。

美浦工場では、水、ガス、化学薬品、空調を供給するためのインフラ・システムの補修工事が27日の日曜日に完了し、クリーンルームも問題がないことが確認されたほか、生産装置の90%以上について通電確認が終わったという。

このため同社では美浦工場での初期生産再開は2011年4月中旬、全面稼動は7月中旬になると見込んでおり、全面稼動に基づく出荷は9月になる予定としていう。また同社では、美浦工場のウェハ生産量の60%をカバーする代替生産拠点を確定しているが、現在この比率が80%以上に増加しているという。代替工場は、テキサス州ダラス、リチャードソン、および独フライジングにある工場となっている。

一方の会津工場は、すでに初期生産が再開しており、4月中旬の全面稼働に向けて予定通りに進んでいるという。

ただし、電力会社が実施する計画停電や、節電への協力を最優先に行う予定であるとしており、美浦工場および会津工場での今後の生産再開予定は、電力の安定供給が前提となっているという。

また、材料の供給、特に積層基盤に使用される部材および300mmウェハについては注意が必要としており、供給に支障をきたさないよう、サプライヤとの連携を図るのと併行して、他の供給ソースからの材料調達も検討しているという。

このほか、同社は4チャネル内蔵の16ビットD/Aコンバータ(DAC)「DAC3484」および通信、ネットワーキングその他のアプリケーション向けに小型パッケージで高い効率を実現した最高25Aの出力電流をサポートする降圧型レギュレータ「TPS56221」(出力電流25A)、「TPS56121」(同15A)を発表している。

DAC3484は、同種の高速4チャネル内蔵DACと比較して、25%高い1.25GSPSの動作速度と同時に、250mW/チャネルと65%低い消費電力を提供することが可能だ。また、同種の4チャネル内蔵DACと比較して40%小型化したパッケージで提供され、最高250MHzの広帯域パワー・アンプの直線性補正機能を実現することが可能となっている。さらに、最高500MHzの直線性補正帯域幅をサポートするデバイスとして、より広い入力バス幅を備えた「DAC34H84」および、2チャネル内蔵の「DAC3482」の各DACも供給中だという。量産出荷は2011年第2四半期の予定で、1,000個受注時の単価(参考価格)はDAC3484が58.60ドル、DAC3482が33.50ドルとなっている。

4チャネル内蔵の16ビットD/Aコンバータ(DAC)「DAC3484」

一方のTPS56221は、同社の「NexFET MOSFET」を集積した、25A、14Vの同期整流SWIFTスイッチャで、12V入力および1.3V出力で、25Aの連続出力電流と500kHzのスイッチング周波数の動作時に、200W/in3(約12.2W/cm3)と高い電力密度および、90%を超える変換効率を実現している。またTPS56121は15A、14Vの同期整流SWIFTスイッチャで、5V入力および1.2V出力の場合に、市場の同種の15A製品と比較して、3%高い変換効率および、2倍のスイッチング周波数を提供することが可能となっている。2製品ともにサンプルは2011年3月末に供給開始の予定で、1,000個受注時の単価(参考価格)は、TPS56221が5.25ドル、TPS56121が4.35ドルとなっている。

降圧型レギュレータ「TPS56221」