東芝は9月29日、新潟県柏崎市の柏崎フロンティアパークにおいて、同社の2次電池「SCiB」の量産拠点である「柏崎工場」の竣工式を行った。今後、順次生産ラインを立ち上げ、2011年2月より生産を開始する計画としている。
同工場は同社佐久工場(長野県佐久市)に続くSCiBの生産拠点として、電動車両用途などに向けたSCiBセルおよびモジュールの生産を行う。生産開始当初の能力は月産50万セルで、電気自動車向けの20Ahセルから量産を開始する予定で、2011年度中には生産能力を月産100万セル以上に拡大する計画。
同工場は、先端の半導体工場のコンセプトを適用することで、設備レイアウトを自由に変更できる建屋構造などを採用。これにより、生産計画の変更などにフレキシブルに対応でき、将来の需要や品種の変化にタイムリーに対応することが可能となっている。また、クリーンエリア、ドライエリアの最適配置と最小化、局所クリーン化の導入などにより、空調とドライエアー環境維持に必要なエネルギーを抑え、消費電力を従来工場比で約1/5に削減することに成功している。
また、併せて同社は太陽光発電などの蓄電システム(定置用)および電気自動車向けにセルの容量を60Ahに高めたSCiBを開発、2010年度中に供給を開始する予定であることを発表した。
新たに開発されたセルは、新材料の採用および充填技術の開発により、急速充電性能、長寿命、低温特性などのSCiBの有する特性はそのままに、体積エネルギー密度を従来比で約1.3倍の約230~約270Wh/lに高めることに成功している。
なお、同社ではSCiB事業を成長性の高い新規事業と位置づけており、柏崎工場での本格的な量産開始により、電気自動車などの電動車両用途向け、スマートグリッドなどで利用される電力貯蔵向けなど新たな市場での事業展開を加速させ、2015年度には売上高2000億円を目指すとしている。