Agilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは、同社のベクトル・ネットワーク・アナライザ(VNA)「Agilent PNA-Xシリーズ」に、67GHzを実現した「Agilent N5247A 67 GHz PNA-X マイクロ波ネットワーク・アナライザ」を追加したことを発表した。

「Agilent N5247A 67 GHz PNA-X マイクロ波ネットワーク・アナライザ」

同製品は、+10dBmの出力パワー、110dBのシステム・ダイナミックレンジ、+11dBmの0.1dBレシーバ圧縮レベルを67GHz時で実現しているほか、既存のVNAと比べて、出力パワーは8dB、ダイナミック・レンジは7dB優れているため、1台で線形および非線形能動部品の正確な特性評価に対応することが可能となっている。

また、他のPNA-Xモデル同様、高信号純度な2信号源を内蔵することができるほか、コンバイナとパス・スイッチも内蔵可能。これにより、1回の接続で、Sパラメータ、雑音指数、相互変調歪み(IMD)の測定が可能だ。さらに、能動部品の試験に必要なその他のさまざまな試験も、最大67GHzまで実行することができるようになっている。

これまで同じような試験を行うには複数の測定器をラックに収め、大規模な測定システムを構築していたが、同製品では1台で測定することが可能となるため、必要となる機器の数を削減できるようになるほか、測定時間も4~20倍高速化させることが可能となっている。また、ミリ波デバイスの測定ではウェハ上で測定が行われることが多く、プローブをつなぎ換えたり、作業者の手を煩わせたりせずに、正確な特性評価ができるSCMMコンセプトの利点をさらに享受することできるようになる。

さらに、ミリ波ヘッドコントローラと67GHz-110GHz T/Rモジュールを追加することで10MHzから110GHzに対応し、連続掃引ができる、2/4ポートのミリ波ネットワーク・アナライザにシステムアップが可能。信号源の出力パワーと位相も制御することで差動測定を行うことができ、周波数コンバータの測定も可能なソリューションとなる。

なお、同社では同製品の発表に併せてPNA-X上で動作する非線形ベクトル・ネットワーク解析(NVNA)ソフトウェアの機能も強化。これにより、部品の線形および非線形のふるまいを表現できる新たな高周波パラメータである「Xパラメータ」を測定することができるようになった。同パラメータ測定機能は以下のとおりとなっている。

  • 2トーンXパラメータ測定
  • マルチトーン波形測定・解析
  • 3ポートデバイスの特性評価
  • 基本波のみでのXパラメータ測定

また、これらのXパラメータ測定によって得られたデータは、同社のEDAソフトウェア「ADS」「Genesys」「SystemVue」にインポートすることが可能となっている。

同製品の受注はすでに開始しており、2ポートモデルが2012万9004円(税別)から、4ポートモデルが2516万2914円(同)からとなっている。出荷は2010年12月からを予定している。