Infineon Technologiesは、高集積の電子システム・イン・パッケージ・ソリューションの研究・開発に向けた欧州最大規模の研究プロジェクトが発足したことを発表した。

同プロジェクトは、「ESiP(Efficient Silicon Multi-Chip System-in-Package Integration:効率的なシリコン・マルチチップ・システム・イン・パッケージ集積)プロジェクト」と呼ばれるもので、欧州9カ国よりマイクロエレクトロニクス企業と研究機関40団体が参加し、複雑な小型マイクロエレクトロニクス・システムの、信頼性とテストの容易性を高めることを目指すというもので、同社の指揮の下、2013年4月まで運営される計画。

ESiPプロジェクトの推進により、欧州は、小型エレクトロニクス・システムの開発・製造で主導的地位に立つことを目指す。将来的には、生産技術や構造幅の異なる複数のチップを標準のチップ・パッケージ内に集積し、これまで以上に多くのアプリケーションに対応できることを目指すという。

具体的には、45nmプロセスの特殊プロセッサ、高周波90nmプロセス送受信チップ、センサ/受動部品(小型キャパシタ/特殊フィルタなど)が考えらている。ESiPの目的は、システム・イン・パッケージ(SiP)の開発に必要な、新たな生産プロセスと素材の信頼性を調査することで、プロジェクトでは、エラーの分析・テストの新たな手法の開発も行われ、将来的には、このプロジェクトの成果が、電気自動車や医療用機器、通信技術機器などで使用される見込みとなっている。

なお、ESiPの総予算は、欧州全域で約3,500万ユーロで、そのうち半分の資金は、プロジェクト・パートナー40団体が3年間を通じて拠出する。残り半分のうち、3分の2は、オーストリア、ベルギー、フィンランド、フランス、ドイツ、英国、イタリア、オランダ、ノルウェーの各国の資金提供団体の、3分の1は欧州連合(欧州ナノエレクトロニクス・イニシアチブ諮問委員会および欧州地域開発基金)の資金提供を受ける。また、独ザクセン自由州や、独連邦教育研究省(BMBF)も、ドイツ政府のハイテク戦略と「Information and Communications Technology 2020(IKT 2020)」プログラムの一環として、後援団体に名を連ねており、約310万ユーロを拠出する。BMBFは、欧州各国の参加機関の中で最大の後援団体で、欧州レベルでの戦略的提携の推進により、マイクロエレクトロニクスの拠点としてのドイツの地位を強化することを目指すとしている。