講談社は7日、Webサイトを中心とした出版事業"WEBLISHING"の確立を目指す新会社、星海社の設立を発表した。小説や漫画などコンテンツのWeb無料公開、出版、イベント展開を事業化し、インターネットにおける新たな出版ビジネスの構築を狙う。

写真左より、野間省伸 講談社代表取締役副社長、杉原幹之助 代表取締役社長CEO、太田克史 代表取締役副社長COO

星海社は今後、事業の中核となるWebサイト『最前線』を今年9月上旬にプレオープン。小説や漫画などのコンテンツを無料で公開するほか、同11月以降には各コンテンツを星海社ブランドとして文庫や新書、コミックスといった形態で刊行していく。2011年度は30~40点を刊行、同社売上の9割以上を占める予定。紙媒体の出版業務は親会社となる講談社に委託される。また、2011年内にはWebサイトと読者をつなぐリアルのイベント拠点を立ち上げる。これらデジタル、出版、イベントの3事業を通じて、3年後に30億円の売上を目指す。

星海社の代表を務める杉原幹之助 代表取締役社長CEOと太田克史 代表取締役副社長COOは、それぞれ講談社では営業畑と編集畑の出身。「未来の出版社像はWebにある」という両人の提案に端を発し、講談社100%出資会社として星海社が設立された。こうした起業ケースは講談社では初の試みという。野間省伸 講談社代表取締役副社長は「さまざまな実験の舞台と考えている」と説明。星海社の事業を通じて、Webならではの商品開発、新たな編集者像の構築、海外展開などの道を模索することも狙いとしている。