SAPジャパンは6月10日、中堅・中小規模(SMB)を対象にしたビジネスに関する記者説明会を行い、グローバル市場と国内市場の概況と戦略について説明を行った。

SAP AG エグゼクティブ・バイスプレジデント ジェネラル・マネージャ、グローバルSME & インダイレクトチャネル エリック・デュフォー氏

初めに、SAPのエグゼクティブ・バイスプレジデント ジェネラル・マネージャ、グローバルSME & インダイレクトチャネルのエリック・デュフォー氏が、SAP全体のSMBビジネスについて説明した。

同社の顧客企業9万7,000社のうち、7万5,000社は中堅・中小企業であり、毎日25社の新規で顧客を獲得しているという。「SAPは大規模企業に強いというイメージが強いかもしれないが、当社の顧客の77%が中堅・中小企業だ。このレンジのビジネスは急速に成長しており、過去3年間で顧客が3倍に増えた」

SMBビジネスの売上は全体の20%程度だが成長は著しく、第1四半期は全体の1.5倍の成長率だった。

同氏は製品戦略について、「プラットフォームやインメモリから構成されるテクノロジーを基盤に、『オンプレミス』、『オンデマンド』、『オンデバイス』に分類される製品を提供し、さらに各製品群を連携させていく」と語った。

「オンプレミスの製品としてはSAP Business Suite 7が、オンデマンドの製品としてはLoB on DemandやSAP Business ByDesignがある。オンデバイスとは、最近普及しているモバイルデバイスからのアクセスを実現することで、いつでもどこからでも当社の製品にアクセスできるようにすることだ」

また、SMB市場に対する戦略としては、「ブランドの拡大」「ポートフォリオの拡大」「販売チャネルの拡大」の3点が挙げられた。

SAPの製品戦略(左)とSMB市場向け製品のラインアップ

SAPジャパン 地域統括営業本部 チャネル営業部 ディレクター 柳宇徹氏

国内のSMB市場については、SAPジャパン 地域統括営業本部 チャネル営業部 ディレクターの柳宇徹氏が説明を行った。

同社は年商50億円から500億円以下の規模を中堅市場と定義しているが、同市場に含まれる国内企業は5万社あるという。国内のSMBビジネスの売上の割合はグローバルと同じだが、「欧米に比べるとIT導入のスピードが3年~5年遅れている」と同氏。

同氏はデュフォー氏が紹介したSMB市場に対する戦略に沿って、国内におけるSMB市場の戦略を明らかにした。

ブランド拡大のために、国内では「営業体制の強化」「セールスツールの拡充」「パートナー支援プログラムの実施」「サポートの強化」を行う。営業体制については、チャネル営業部を増員するとともに今年後半に直販とインダイレクトの部署を統合していく。

ポートフォリオ拡大に向けては、「SAP Business All-In-One Fast-Start Programの活性化」「SAP Business All-In-One向けSubScription based Hostingの開始」「SAP BusinessObjectsの販売強化」が行われる。

オンデマンドサービスのSAP Business ByDesignは現在、フランス・インド・中国など6ヵ国で提供がスタートしているが、国内提供は来年の予定だ。

チャネル拡大に向けては、「Crystal Reportsによるレポート・帳票開発のスタンダード化」「拡販ビジネスモデルの強化」「拡張ビジネスプログラムの国内展開」が実施される。拡張ビジネスプログラムとは、パートナーよりも柔軟なパートナーシップによる協力を行うプログラムで、主軸リセラーの傘下で拡張営業要員としてメンバーシップ契約を締結するというもの。

国内では昨年、電通国際情報サービスがBusiness All-in-Oneをクラウドサービスとして提供することが発表されたが、現在、同様の話が進んでおり、今年末までに合計3社のチャネルパートナー経由でのサービス提供が行われる計画だという。