低価格ジム「chocoZAP(チョコザップ)」を武器に躍進を続けるRIZAPグループ(ライザップ)。

2023年4月~2024年2月のフィットネスクラブの倒産件数が28件と過去最多を記録する中(東京商工リサーチ調査)、チョコザップは飛躍的な成長を見せている。2022年7月に事業を開始してから、約1年7カ月で会員数は112万人(退会者は含まず)を超えた。

  • 低価格ジム「chocoZAP(チョコザップ)」の会員数の推移

    低価格ジム「chocoZAP(チョコザップ)」の会員数の推移

全国44都道府県でサービスを提供し、店舗数は1333店(2月14日時点)。4月下旬までに島根県、鳥取県、宮崎県にも進出し、全都道府県での出店を達成させる予定。24時間365日全店舗使い放題、着替え不要といった気軽さがウケている。

  • 低価格ジム「chocoZAP(チョコザップ)」の店舗数の推移

    低価格ジム「chocoZAP(チョコザップ)」の店舗数の推移

最近ではトレーニング機器だけでなく、セルフで行うネイルやホワイトニング、デスクバイク、マッサージチェアなど、さまざまな新サービスが登場している。かく言う筆者も1年以上前からチョコザップの会員で、1日5分の「ちょいトレ」を習慣化するように努めている。ただ、意識が低すぎてお手洗いだけを借りて帰る日もある。それくらい気軽に行ける場所だ。

チョコザップ事業は収益面でも成長を見せており、2023年11月以降、単月黒字を継続させている。瀬戸健代表取締役社長は2月の決算会見で「やっと黒字化しスタートラインに立てた。投資を続け来期から成長を再加速していく」と意気込みを見せた。

  • チョコザップ事業は2023年11月より単月黒字を継続している

    チョコザップ事業は2023年11月より単月黒字を継続している

同社は東証プライム市場への上場に向けた準備も進めている。瀬戸社長は3月15日に立会外分売で604万100株を売却(価格は1株377円)し、同社の流通株式比率を35.6%(分売前は34.6%)まで上昇させた。東証プライム市場の上場要件である流通株式比率35%以上を満たした。

加えて瀬戸社長は、売却益で1株194円の新株予約権を行使し、最大106億円の資金調達を実施する予定。この資金をチョコザップ事業への投資に充てるとしている。今後3年間(2025年3月期~2027年3月期)で同事業に400億円を投じる予定だ。

フィットネス業界に一大旋風を巻き起こしたチョコザップは、今後どのように進化してくのだろうか。

カラオケや洗濯、MRI検査ができる「スマートライフジム」へ

ライザップは3月28日、東京都内で記者会見を開いた。同会見では「本当にジムなのか…?」と疑ってしまうほど、ジムの常識を覆す以下の7種の新サービスが発表された。

1. カラオケ
2. 洗濯・乾燥機(ランドリー)
3. ピラティス
4. セルフフォト
5. キッズパーク
6. トレサポ
7. 医療提携サービス「chocoZAPメディカル」

  • チョコザップ、7種の新サービスを本格展開へ

    チョコザップ、7種の新サービスを本格展開へ

カラオケでストレスを発散し、洗濯の合間にトレーニング。人気のピラティスを体験し、帰宅前にちょこっと1枚写真を撮る。キッズパークで子供に遊んでもらい、その間に自分磨きをする--。従来のジムでは体験できないことが、チョコザップでは体験できるようになるという。

電話としての機能だけでなく、ゲームや地図、カメラ、銀行ATM、財布といったさまざまな機能を実現するスマートフォンのように、あらゆるサービスを提供する「スマートライフジム」の実現を同社は目指す。4月からこれらの新サービスを一部の店舗に導入し、今後さらに導入店舗数を拡大させていく方針だ。

  • 新サービスの導入予定

    新サービスの導入予定

同日の記者会見に登壇した瀬戸社長は、「自己実現のための『特別な体験』を『身近な体験』に変えていく。チョコザップをもっともっとコンビニエンスにしていきたい」と新サービスの狙いを述べた。

  • RIZAPグループ 代表取締役社長 瀬戸健氏(3月28日、東京都新宿区)

    RIZAPグループ 代表取締役社長 瀬戸健氏(3月28日、東京都新宿区)

MRI検査・CT検査の無料受診が可能に

特に筆者の目を引いたサービスがchocoZAPメディカルだ。同サービスにより、チョコザップの会員は、1年に1回無料でMRI検査(脳の画像検査)もしくはCT検査(胸部と腹部の検査)が受けられるようになる。

チョコザップの会員データを提携医療機関の医療データと連携させ、年間5万4000人の受け入れを可能にする。提携する医療機関は4月時点で1軒の予定だが、今後順次展開していくとのこと。

  • チョコザップは医療提携を開始する

    チョコザップは医療提携を開始する

2023年の厚生労働省の調査によると、一般的な健康診断の受診率は69.2%だが、人間ドックの受診率は12分の1の5.6%と低い。ライザップは同サービスの展開を通じて、予防医療の実現を目指す。

「結果にコミットする」トレーナーが運動をサポート

また、低価格を実現するために無人店舗を謳ってきたチョコザップだが、今後は運動のサポートにも力を入れる。

新サービスのトレサポは、“結果にコミットする”でお馴染みの完全個室のパーソナルジム「RIZAP」のトレーナーがチョコザップの一部店舗に出向き、会員の運動をサポートするサービス。2024年6月末にはでRIZAPトレーナー100人体制が整う予定で、食事のアドバイスやマシンの修理、店舗の清掃なども行うとのこと。

  • 「RIZAP」のトレーナーがチョコザップ会員の運動をサポート

    「RIZAP」のトレーナーがチョコザップ会員の運動をサポート

また、専用アプリの機能も拡充していくとし、店舗の利用情報を自動で記録する機能や、運動データを活用したAI(人工知能)アドバイザー機能などの開発を進めている。

  • 店舗の利用情報を自動で記録する機能

    店舗の利用情報を自動で記録する機能

  • AIを活用したアドバイザー機能

    AIを活用したアドバイザー機能

従来のジムの在り方にとらわれないチョコザップ。チョコザップという空間は、今後どのような場所になっていくのだろうか。筆者は今日も帰路でチョコザップに立ち寄って、ちょこっとだけ汗を流しに行こうと思う。