Freescale Semiconductorは、32ビット・マイクロコントローラ「ColdFire」の拡充を目的に、次世代32ビットマイコンとなる「ColdFire+」ファミリ40製品を発表。併せて、最初のシリーズとして、アナログ、コネクティビティおよびセキュリティ・ペリフェラルに低消費電力の性能を組み合わせた「MCF51Qx/Jxファミリ」の2010年下期にサンプル出荷を開始、2011年中ころに量産開始する計画を明らかにした。

ColdFire+は90nm 薄膜ストレージ(TFS)フラッシュメモリ技術と独自技術であるユーザによるサイズ設定が可能なEEPROM「FlexMemory」をベースとしており、これにより最大440万回の書き込み/消去サイクルとと最大100μsの書き込み速度が実現される。FlexMemoryは、データ・テーブルの管理やデバイスのデータ処理に利用可能であるほか、低電圧状態でも使用できるため、システム電源の降下時にも電圧が完全に失われる前に重要なプログラム・パラメータを保存することも可能だ。1.71~3.6Vの電圧範囲で完全な動作とプログラマビリティをサポートしており、EEPROMまたは追加Flash領域のいずれかを選択して設定することが可能で、組み込み設計におけるシステムの柔軟性を向上させることができる。

また、10種類の柔軟な超低消費電力モードが用意。超低消費電力動作モード時では150μA/MHz以下の動作電流、ストップ・モード時には500nA以下の消費電流を実現しているほか、最低消費電力のストップ・モード時にも2つの低消費電力タイマが動作可能で、複数の電力モードでも4μsのウェイクアップ時間を実現するため、低消費電力要件の厳しいアプリケーションが設計可能になる。加えて、低消費電力ハードウェア・タッチ・センサ・インタフェースと組み合わせることで、最低消費電力モードでもタッチ検出によりウェイクアップが可能となり、バッテリの長寿命化が可能となる。

さらに、16ビットのA/Dコンバータ(ADC)モジュールを内蔵しており、計測機器に必要な高解像度をサポートしているほか、内蔵12ビットD/Aコンバータ(DAC)により、オーディオ・アプリケーション向けのアナログ波形生成がサポートされる。加えて、高速コンパレータにより、パルス幅変調(PWM)を安定した状態に制御することで、高速かつ正確なモータの過電流保護機能も実現することが可能だ。このほか、リファレンス電圧を内蔵したことで、ADC、DACへ基準電圧を供給可能なため、外部電源のためのコストを削減することができる。

最初のColdFire+ファミリとなるColdFire+ MCF51QxおよびMCF51Jxファミリは6つの製品ファミリで構成されており、ピン互換性とソフトウェア互換性を維持しつつ、上記のような特長のほか、暗号化アクセラレーション・ユニットおよび乱数発生器により、セキュアな通信を実現することが可能となっている。また、静電容量式タッチセンサおよびディスプレイ・サポート機能を内蔵している。

ColdFire+のMCF51Jxファミリの各種機能

さらにJxファミリではUSB 2.0フルスピード・デバイス/ホスト/OTGコントローラを搭載、USBを介した通信とバッテリ充電をサポートしているほか、シリアル・オーディオ・インタフェースにより、オーディオ・コーデックおよびIC間サウンド(I2S)オーディオ・デバイスへの直接接続を実現している。