1つのアーキテクチャですべてをカバー

同FPGAは、AMBA/AXIの採用に加え、28nmプロセスで製造される。具体的には、従来同社が活用してきたファウンドリであるUMC(United Microelectronics)からTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing)へと変わり、プロセスも28nm High-K/メタルゲート(HKMG)プロセスへと統一される。これにより、スタティック電力は最大で50%削減可能となるほか、「1つのアーキテクチャで低コストのFPGAからハイパフォーマンスなものまでカバーすることができるようになるという"Unified Programmable Logic Architecture"の考え方のもと、それぞれの要求に応じた性能を最大限に引き出すことが可能となり、製品ファミリの拡張もしやすくなる」(Ratford氏)としている。なお、具体的な製品ファミリなどについては、2010年第4四半期にARMコア非搭載版の出荷を、ARMコア搭載版を2011年前半に詳細の公開を行い、11年中の出荷を予定しているが、製品ファミリとしてプロセスがSpartanもVirtexも同様のものになることから、統一され新しいファミリとなるのか、従来どおりのものを踏襲するのかについては明らかにされなかった。

1つのアーキテクチャで低コストニーズからハイパフォーマンスニーズまで対応することが可能となる

また、アプリケーションの開発もハード/ソフトの協調設計が可能となる

合成ツールなどの使い勝手向上も同時に進行中

ただし、こうしたスケーラビリティを持たせることで、さまざまなアプリケーションに対応することが可能となると同社では指摘している。

スケーラブルなプラットフォームにより、さまざまなアプリに対応することが可能となる

これは例として提示されたドライバアシスタンスシステムの要件

こちらも例として提示されたインテリジェントビデオ監視システムの要件

特にこれまでFPGAでは処理能力が足りないとされ、ASSPやASIC、DSPなどを複数個活用して構成されていたシステムなどに対し、ARMコアの性能を活用することでFPGAを中心とした簡素なシステム構成で代替することが可能となるため、システム側のコスト削減や消費電力の低減、小型化などの要求に応えることが可能となる。

また、ASICでは難しい新規格などへも柔軟に対応することが可能となるほか、ハイエンドのCortex-A9 MPCoreだからこその余剰分のCPUパワーを他の処理に回すといったことも可能となる。

同社では、こうしたハードウェア的な取り組みのみならず、合成ツールなどの使い勝手の向上にもサードパーティ含めて取り組んでいる。「Xilinxとしても、C/C++やMATLAB、Simulinkなどそれぞれの言語に対応する環境での開発を加速させるための高位合成ツールのさらなる使い勝手向上に向けた取り組みを進めている」(同)とのことで、すでに同社のC合成パートナーとして、AutoESLの「AutoPilot」およびSynforaの「PICO Extreme」がBerkeley Design Technology(BDTI)の評価を受けているという。

高位合成ツールの使い勝手を向上させることでRTL以外での開発も容易にしようとしている

なお、同アーキテクチャ仕様は参照可能の状態となっており、すでに一部のカスタマとの間にはLinuxで動作するエミュレーションプラットフォームにてサブシステム全体を動かす段階まで達しているとしている。

すでに一部のカスタマ(アルファカスタマ)と製品開発が進められているという。例えば、スライドに掲載されているのはVirtex-5を3個とVirtex-6を3個搭載し1万ドル程度するボードだが、これを次世代FPGAに置き換えることで、コストは数分の1まで低減できるようになるという