デジタルハリウッドは、2009年度に同校全ての教育機関の生徒が制作した作品(約1,000点)のなかから最優秀作品を発表する、同校最大のイベント「DIGITAL FRONTIER GRAND PRIX 2010」(DF2010)を開催した。

壇上に集まった受賞者たち

DIGITAL FRONTIER GRAND PRIXは、昨年まで専門スクールの生徒による作品のみを対象としていたイベント。今回から、デジタルハリウッドに加え、4年制大学「デジタルハリウッド大学」、専門職大学院「デジタルハリウッド大学大学院」、eラーニングスクール「デジハリ・オンラインスクール」の4機関に在籍する生徒の作品を対象としたイベントへと規模を拡大した。

グランプリ選出では、まずWeb、グラフィック、CG・映像の3部門に分かれて審査が行われ、それぞれの優秀作品数点に部門賞が授与された。審査員は、Web部門が水田孝治氏、篠田朋広氏、工藤洋一郎氏、西野敦彦氏の4名、グラフィック部門が星川淳哉氏、丸山雄一郎氏、藤永忠男氏の3名、CG・映像部門が伊藤武志氏、松田圭太氏、真島理一郎氏、橋本トミサブロウ氏の4名が担当。いずれも業界を牽引するクリエイターであり、デジタルハリウッドの卒業生だ。

グランプリを獲得したのは、デジタルハリウッド・クリエイティブ・ラボ所属の川田和賜さんの作品『SAKURA』。CG・映像部門でベストキャラクター賞も受賞したCGアニメーション作品だ。準グランプリは、デジタルハリウッド総合Proコース・三輪悠介さんの『REJOICE』と、デジタルハリウッド本科所属・上村薫子さんの『那須高原作家協会 -NASU ART-』。個別指導教室の紹介を行うWebサイト『REJOICE』はWeb部門でベストコンストラクション賞を、架空の作家協会を紹介したWebサイト『那須高原作家協会 -NASU ART-』はWeb部門でベストアートディレクション賞をそれぞれ受賞した。

「DIGITAL FRONTIER GRAND PRIX 2010」受賞作品

グランプリ

SAKURA
作者:川田和賜

準グランプリ

REJOICE
作者:三輪悠介

那須高原作家協会 -NASU ART-
作者:上村薫子

デジタルハリウッド学校長の杉山知之氏は「今日見ていただいた作品を目標にして、それを超える作品を制作すれば必ず世界のコンテストで優勝できるレベルに達します」と、来場していた新入生を鼓舞した。なお、同イベントの過去の入賞作品は、東京国際映画祭で特別賞受賞した『スキージャンプ・ペア』をはじめ、デジタルコンテンツグランプリで「金の翼」賞を受賞した『brestTV お笑いチャンネル』世界最大のCGカンファレンスSIGGRAPHの ElectricTheaterで上映された『近未来ロボ ヘルパー』など。DVDシリーズの売り上げが50万枚を突破した『スキージャンプ・ペア』のように、学生作品の枠を超えて、商業的にも成功した作品も送り出している。

そのほか、同イベント内では、杉山氏とソフトバンクモバイルの中山五輪男氏によるスペシャルセッションや、今回から新たに設けられた学長賞の授与式と作品紹介も合わせて実施された。学長賞は、裁判員裁判制度の証拠としても採用された司法解剖CG制作者の瀬尾拡史さん、携帯端末用twitterサービスである「movaTwitter」開発者の藤川真一さん、アヌシー国際アニメーション映画祭短編部門にノミネートされた『恋するネズミ』監督の日高晋作さんの3名が受賞。杉山氏は、様々なジャンルのクリエイターを排出しているデジタルハリウッドの中でも、特にユニークな活動を行っている卒業生に同賞を贈っているとし、「卒業生が活躍していることが、デジタルハリウッドをやっていく中でうれしいことのひとつです」と、コメントした。

学長賞を受賞した瀬尾さん(左)、日高さん(中央)、藤川さん(右)の3名

左から杉山氏と中山氏

デジタルハリウッドをはじめ、デジタルハリウッド大学、デジタルハリウッド大学大学院などの新入生のほか、Webサイトなどから募った一般来場者も足を運び、合わせて約1,000名の観客が集まったDIGITAL FRONTIER GRAND PRIX 2010。Twitter使って会場の様子を実況中継して、遠方や海外に住む人々にもイベントの内容をリアルタイムで伝えるという試みも行われるなど、次世代を担うクリエイター誕生の瞬間に多くの人が立ち会うイベントとなった。