A vocabulary and associated APIs for HTML and XHTML

漢字に振り仮名をつけるというのは日本の出版物で頻繁に活用されているスタイルだ。読みやすくするという目的以外にも、表現のひとつとして振り仮名が利用されることもある。しかしながらこれまで、Webコンテンツでこれを実現するのは難しいところがあった。振り仮名をサポートしているブラウザに限りがあるため、振り仮名を指定しても想定しているとおりには表示されないためだ。

Implementation progress on the HTML5 <ruby> elementにおいてHTML5で標準化が進められている振り仮名要素の実装状況が報告された。説明によれば、最近Chromeの開発版に振り仮名の実装が追加されたという。すでにIEが振り仮名をサポートしているため、メジャーブラウザのうち2つが振り仮名をサポートしたことになる。主要ブラウザのレンダリング例は次のとおり。緑の部分がブラウザによって直接レンダリングされた振り仮名文章。

振り仮名対応 - Chrome 4.0.245.0 on Windows XP

振り仮名対応 - IE8 on Windows 7

IE8とChrome開発版では想定しているように振り仮名がレンダリングされている。それ以外のブラウザはレンダリングをサポートしていないため、振り仮名もそのままほかの文章と同じようにレンダリングされている。Chromeはまだテキストの選択レンダリングで不自然さがある。IE8では振り仮名テキストの選択も自然に実施できる。

振り仮名未対応 - Firefox 3.5 on FreeBSD 9

振り仮名未対応 - Safari 4.0.4 on Mac OS X Snow Leopard

振り仮名未対応 - Opera 10.01 on FreeBSD 9

ブラウザ IE Firefox Safari Chrome開発版 Opera
振り仮名対応状況 × × ×

Implementation progress on the HTML5 <ruby> elementには、日本語で記載されたドキュメントを読まない場合には振り仮名のサポートはそれほど重要なことではないと思うかもしれないが、日本の出版で活用されているこの基本的なレイアウトがブラウザでサポートされることは重要なことだといった説明がある。

HTML5 ruby要素の記述例 - A vocabulary and associated APIs for HTML and XHTMLより抜粋

HTML5 ruby要素のレンダリング例 - A vocabulary and associated APIs for HTML and XHTMLより抜粋

振り仮名は日本では活発に活用されているが、海外ではそうでもない。HTML5の準拠とともに主要ブラウザが振り仮名表記をサポートするようになれば、日本語のWebコンテンツでもっと積極的に振り仮名を利用できるようになる。Firefoxは3.6でも振り仮名をサポートしていないが、アドオンを追加することで現在でもサポートすることは可能。