東芝は11月17日、EUV露光装置向けに低分子材料を用いたフォトレジストを開発、20nmプロセス世代の回路パターンでの実用性能を確認したことを発表した。

従来、高解像度を実現するためには、分子が大きく低感度な高分子レジストが用いられ、20nm世代では処理時間の増大が問題となっていた。

同社では、こうした問題を解決するため、分子構造が小さく頑丈なトルクセンを材料として、低分子の弱点とされる耐久性などの課題を克服したEUV世代対応の"ポジ型"レジストを開発を行ってきた経緯があり、今回、トルクセン誘導体(トルクセン分子を基に設計された構造体)を用いて、20nm世代に適用できるよう、より高解像度に向く"ネガ型"を新たに開発、20nm世代のパターンで実用的な感度と耐久性を実現した。

トルクセン誘導体の分子構造(原子が星型に固く結び付いた剛直な構造)

また、ネガ型のレジストで最良の特性を引き出すため、トルクセン誘導体と架橋剤の比率を変えながら性能検証を実施。架橋剤は分子の結合に必要な物質で、光を受けてレジストの反応を促進する光酸発生剤を含み、光の透過性や反応速度の観点で導入する必要がある。検証の結果、トルクセン誘導体と架橋剤を3:1で組成した時に最適な性能となることが解明された。この条件により、主要な性能指標であるラフネスおよびエッチング耐性について、従来の高分子レジスト以上の特性を達成したという。

線幅22nmのラインパターンの走査電子顕微鏡写真

エッチング耐性の比較

同社では今後、低分子レジストの特性向上をさらに進め、ITRSで2013年ころの実用化が予想される20nm世代のLSI向けに早期実用化を目指すとしている。なお、同成果については、11月17日から開催されているナノテク関連の国際会議「MNC 2009」において、11月19日に発表を行う予定。