Nymonyxは11月6日、同社の社長兼CEOのBrian L.Harrison氏が来日、同社のビジネス概況の説明を行った。
フラッシュメモリの市場状況について同氏は、「2月頃より徐々に回復傾向に入っているが、1部のフラッシュメモリベンダが投資を抑えていたため、現在はNANDもNORも供給不足の状態になりつつあり、需給のバランスが不均衡となっている」と説明する。そうした状況の中、同社は「Asset Smart」という戦略を採用することで、各セグメントでの売り上げの増加を達成、手持ち資金については2009年1月時点よりも現在の方が多くなっているという。
市場シェアについてもNORでは、iSuppliの資料ながら2009年第2四半期で首位となり、同第3四半期も首位を堅持、シェアを拡大し2位以下との差を広げたとの予測を披露する。その根幹となっているのが、同社の注力する組み込み分野とワイヤレス分野の伸び、そして日本および中国での市場成長だという。特に日本については「全社成長以上の伸びを2009年は見せている地域となっている」としており、デジタル民生機器やゲーム機における基盤を確立したほか、携帯電話分野でも確固たるポジションを確保するなど、重要な市場となっていることを強調する。
また、NANDに関しても需要が増加、案件ベースでは同社設立当初(2008年3月31日)の頃から比べて約4倍に増加しており、売り上げについても「2009年は前年比で2倍に、2010年での同程度の伸びを見込んでおり、2010年末には売り上げの1/3を占めるまでに成長する見込み」とする。
こうした成長の背景にあるのが先述もしたAsset Smartという戦略で、これについて同氏は「需要に応じてフレキシブルな対応が可能なコスト構造を構築できる戦略」と説明する。具体的には製造担当を3層に分けて実行する。1層目が基盤となる自社の200mmウェハ対応工場を活用したNORおよびNANDの製造。大半のフラッシュメモリをこれら自社工場にて生産しており、同氏は「コスト効率に優れた工場」と表現する。
2層目は韓Hynix Semiconductorとの合弁会社(JV)Hynix-Numonyx Semiconductor(中国 無錫)における300mmウェハでのNANDメモリなどの製造。そして3層目がエルピーダメモリなどのファウンドリの活用だ。
200mmの自社設備を主軸にJV、ファウンドリで300mmを活用することで、財政面のリスクを最小化しながらもカスタマからの需要の増加に対応できる体制であり、「メモリ分野としてはいわゆる"Asset Lite/Fab Lite"の戦略よりも有効」と語る。
需要増にはJVやファウンドリで対応するとしているが、自社工場の生産能力増強なども進めており、イスラエルのFab1の生産能力の引き上げや、伊アグラテのR2 Technology Centerにある試作ラインの拡大などが行われているという。また、プロセスの微細化による生産能力の拡大も推し進めており、2009年は48nmプロセスを採用したSLC NANDおよび41nmプロセスを採用したMLC NANDの量産を開始したほか、2010年には45nmプロセス採用NORの量産を開始する計画としている。
このほか、同社はPCMの開発も行っているが、既報のとおり45nmプロセス品のサンプル提供を開始したという。すでに30社を超すカスタマに1Gビット品のサンプル出荷を開始したとしており、その中には日本のカスタマもかなり含まれているという。
なお、PCMに関しては、Intelと共同でPCMアレイを1つのプロセッサダイ上に集積する技術「PCM(S)」の開発に成功している。これは、薄膜型の2端子オボニックしきい値スイッチ(OTS)をセレクタとして実装し、相変化メモリ要素とフロスポイント型アレイに配置することで、多層化を実現。積層アレイは、クロスポイント型アレイに集積された後、CMOS回路と組み合わされ、複合化、検知、論理機能などが実現される。同技術では、9nsのリセット速度、100万サイクルの耐久性、セルの設定および再設定モードの記述における1Vのダイナミックレンジが実現されているという。この詳細については、12月9日開催されるIEDM(International Electron Devices Meeting)にて発表される予定だ。