米Tektronixの日本法人である日本テクトロニクスは10月13日、東京の本社内で報道関係者向けの新製品発表会を開催し、ミクスドシグナル・オシロスコープ(ミクスドシグナル・オシロ)のハイエンド品「MSO70000シリーズ」の販売を同日に開始したと発表した。周波数帯域幅が4GHz/6GHz/8GHz/12.5GHz/16GHz/20GHの6品種がある。アナログ入力のサンプリング速度(1チャネル当たり)は帯域幅4GHz/6GHz/8GHzの品種が最大25Gサンプル/秒、帯域幅12.5GHz/16GHz/20GHの品種が最大50Gサンプル/秒。デジタル入力のサンプリング速度はすべて最大12.5Gサンプル/秒と高い。アナログ入力チャネルはすべて4チャネル、デジタル入力チャネルはすべて16チャネルである。

記者会見で説明にあたった米Tektronixでパフォーマンス・スコープ製品ラインのコーポレート・バイス・プレジデント兼ゼネラル・マネージャをつとめるブライアン・M・ライク氏

MSO70000シリーズのベースマシンは同社が2009年1月19日に発表したデジタル・フォスファ・オシロスコープ(DPO)「DPO70000Bシリーズ」およびデジタル・シリアル・アナライザ(DSA)「DSA70000Bシリーズ」。これらのマシンをベースに、デジタル入力機能と付随機能を付け加えたミクスドシグナル・オシロとなっている。

MSO70000シリーズのアナログ入力における波形更新速度は30万波形/秒と高い。波形メモリは標準10Mポイント(4チャネル使用時)。帯域幅4GHz/6GHz/8GHzの品種は最大125Mポイント(4チャネル使用時)、帯域幅12.5GHz/16GHz/20GHの品種は最大250Mポイント(4チャネル使用時)まで波形メモリを拡張できる。ディスプレイは12.1型のカラーTFT液晶パネル、解像度はXGA(1024×768画素)。本体寸法は高さ298mm×幅451mm×奥行き490mm、本体質量は24kg。

USB 3.0のテストモジュール、DDRメモリバスの解析モジュール、PCI Expressのテストモジュール、10Gbitイーサネット(10GbE)のコンプライアンス・テストモジュール、DVIのコンプライアンス・テストモジュールなど、30種類を超える解析ソフトウェアがオプションで用意されている。

MSO70000シリーズの外観。フロントパネルまわり

MSO70000シリーズの外観。バックパネルから右サイド

MSO70000シリーズの外観。バックパネルから左サイド

MSO70000シリーズの大きな特長はまず、デジタル入力のサンプリング速度を最大12.5Gサンプル/秒と大きく高めたこと。「これまでのミクスドシグナル・オシロスコープではデジタル入力のサンプリング速度が2Gサンプル/秒くらいだった」(米Tektronixでパフォーマンス・スコープ製品ラインのコーポレート・バイス・プレジデント兼ゼネラル・マネージャをつとめるブライアン・M・ライク氏)。タイミング分解能では80psに相当する。

さらに、デジタル入力信号をアナログ入力チャンネルに分岐することで、アナログプローブを使わずにデジタル入力のアナログ波形を観測できるようにした。この機能を日本テクトロニクスは、「iCapture(アイキャプチャ)」と呼んでいる。16チャネルのデジタル入力の中から波形を観測したい信号チャネルを選び、続いて波形を表示するアナログ入力チャネルを選択すると、波形が表示される。アナログ入力を使用中でも、iCaptureを設定することで使用中のアナログ入力をキャンセルしてデジタル入力の信号波形を表示できる。4チャネルのアナログ入力すべてを、iCaptureでの波形表示に変更することも可能である。

価格(税抜き)は周波数帯域幅が4GHzの「MSO70404」が846万円、6GHzの「MSO70604」が998万円、8GHzの「MSO70804」が1180万円、12.5GHzの「MSO71254」が1540万円、16GHzの「MSO71604」が1780万円、20GHzの「MSO72004」が2180万円である。デジタル入力用プローブは別売りで、パッシブプローブ(アナログ帯域幅350MHz)の「P6717」が26万8000円、アクティブプローブ(アナログ帯域幅2.5GHz)の「P6780」が74万8000円。

デジタル入力用アクティブプローブ「P6780」。差動プローブである。アナログ帯域幅は2.5GHzと高い