新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、介護・福祉、家事、安全・安心などの生活分野で役に立つロボットの実用化を推進するため、2009年度より生活支援ロボット実用化プロジェクトを開始したことを明らかにした。人々への生活支援が期待されるサービスロボットの実用化において最大の課題である安全性について、今後の5年間で検証と基準の確立を行い、国際標準獲得を目指すという。

同プロジェクトでは、生活支援ロボットとして本格的普及が期待されるロボットを対象とし、安全性に関する試験、安全性データの取得・蓄積・分析により安全性検証手法の研究開発を行い、生活支援ロボット安全性基準の策定を目指す。

また、同プロジェクトの推進において、NEDOは産業技術総合研究所(産総研)が2009年度補正予算で整備するロボット安全研究拠点と連携、同拠点に集約される生活支援ロボットの対人安全性確保のための人・技術・情報を有効活用することで、プロジェクトを効果的に推進していくとしている。

同プロジェクトでは、以下の5つの研究開発が行われる予定

  1. 生活支援ロボットの安全性検証手法の研究開発
  2. 安全技術を導入した移動作業(操縦中心)型生活支援ロボットの開発
  3. 安全技術を導入した移動作業(自律中心)型生活支援ロボットの開発
  4. 安全技術を導入した人間装着(密着)型生活支援ロボットの開発
  5. 安全技術を導入した搭乗型生活支援ロボットの開発

1つ目の研究は、生活支援ロボットの安全性などの各種データを取得・蓄積・分析し、実務的な安全性検証手法を確立するための技術開発を行うというもの。具体的には、生活支援ロボットの機械・電気安全、機能安全などに関する安全性基準の定量化、安全性試験方法・手順の確立、安全性基準適合性評価手法の確立が行われる。

2つ目の研究では、高齢者や障害者の自立をサポートする移乗・移動支援ロボットシステムを対象とし、実用化に必要な安全技術の開発が行われる。また、3つ目の研究では、人と共存する生活公共空間およびビルにおける移動作業型ロボットシステムを対象に、実用化に必要な安全技術の開発が行われるほか、自律的な判断に基づいた巡回監視や、案内を行う警備ロボットを対象に、リスクアセスメント、回避技術や危険予防技術の開発、安全度水準準拠の測域センサの技術開発などにより、実用化に必要な本質的安全設計や安全技術の開発が行われる。

4つ目の研究は、健常者、高齢者、障害者に対して、上肢動作支援(食事支援、把持支援など)、下肢動作支援(立ち座り・歩行支援)、および全身動作支援(重作業支援)を実現するものとしてロボットスーツ「HAL」を対象に、装着型生活支援ロボットの安全技術の開発を行うというもの。

そして5つ目の研究では、人と密接に動作する搭乗型生活支援ロボットにおける、ハードウェア、ソフトウェアの安全機構についての技術開発が行われるという。