フィードフォワード補償方式
電流モード制御には、入力電圧変動への応答が改善されるという利点があります。デジタル制御のSMPSシステムでは、入力電圧変動に対するフィードフォワード補償を容易に実行できます。ほとんどのSMPSトポロジでは、出力電圧の伝達関数は入力電圧、デューティサイクル、変圧器の巻線比で比較的シンプルに記述できます。電圧フィードフォワードの項は、電流セットポイントに追加することも、電流制御ループと並列に追加することもできます。例えば、降圧型コンバータの伝達関数は次のとおりです。
通常、制御計算式の目的は、PWMデューティサイクル レジスタに格納する値を求めることです。
入力電圧のフィードフォワード補償を計算する上で最大のコストは、除算の実行に必要な時間です。フィードフォワード補償方式は本質的に安定しており、過渡応答も高速です。
結論
本稿では、SMPSアプリケーションで電流モード制御を実行する方法を、アナログコンパレータを使用する場合としない場合を含め、いくつか紹介しました。最適な周辺モジュールを内蔵したDSCを使用すると、複数の方法でSMPSが実装できます。電流モード制御に必要な機能は、DSC個別の機能として複数の方法で実装できます。これを理解することが、アナログSMPS制御からデジタルSMPS制御に移行する上でもっとも重要な鍵です。
著者プロフィール
Bryan Kris(ブライアン・クリス)
Microchip Technology
デジタルシグナルコントローラ部門アーキテクチャ/アプリケーション担当スタッフ
アーキテクト
DSP関連製品の設計/開発を経て、現在、16ビットDSC製品の設計、開発に取り組んでいる。
製品設計/開発の分野で20年以上の経歴を持つ。
また、コンピュータ・アーキテクチャやMCU設計などにおいて、数多くの特許を所得している