僕みたいな映画監督が増えればいい

――最近、樋口監督のように、特撮やアニメーションの世界から映画監督となり、大作映画を監督するというケースが増えていますね。

樋口「そうですね。やっとここまで状況が良くなったという感じですよ。もっと僕みたいな人間が増えればいいと思います」

――特撮監督にとって映画業界はそんなに良くない状況だったのですか?

樋口「現場でも、一段下のランクという扱いでしたしね(笑)。撮影に関して様々なアイデアを出しても、『特撮屋が何をいってるんだ』という雰囲気もありましたし……。その頃に比べたら、最近はVFXの大切さも理解されているし、状況は良いと思います」

――樋口監督が作る映画はとにかくスケールが大きくて、巨大なセットやVFXなしでは成り立たない「大作」が多いのですが、これからも大作路線でいくのですか?

樋口「さっきも話したのですが、小規模の良い映画は、僕より才能ある上手な監督さんがた沢山いるじゃないですか。大作かどうかは別にして、自分にしか撮れない物語や絵を映画で観せていきたいですね」

――今後、こんな作品を作りたいとかありますか?

樋口「みんな驚くと思うんだけど、『うる星やつら』を実写で撮ったらどうかなと」

――『うる星やつら』ですか? どんな映画になるのか、まったく想像つかないんですが……。

樋口「そうでしょ。昨日突然思いついたんですが、どうやってあの衣装の女の子を中途半端な空中に浮かばせる方法がまったく思いつかないんですよ(笑)。今は多分、誰も実現できないと思います。だからこそ、やってみたいなって思いますね。誰からも頼まれてないけど(笑)」

――実現したら凄いですね。期待しています。

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撮影:石井健