スコアシートのデジタル化が安全な大会運営をもたらす
スコアシートがデジタル化されることにより、大会運営スタッフの負荷も軽減されたようだ。
日本サッカー協会 事業部 水野正幸氏は特に失敗の許されない作業が軽減されたと話す。
「長期間に及ぶ大会では、警告の累積による出場停止など、懲罰系の管理は失敗が絶対に許されない。紙の記録の場合、集計や突合せが大変だが、この大会では必要な情報を検索したり、自由に並べ替えたりして、見やすいかたちで確認することができる。見落とす可能性は大幅に低減している」(水野氏)
また、記録員の国士舘大学サッカー部員を管理する立場にある国士舘大学 体育学部研究助手・サッカー部コーチ 松崎泰樹氏は、担当者の作業状況を振り返り、Visco For Soccerの効果を次のように説明した。
「国士舘大学からは記録員として40名以上が参加。その中には、長い間スコアを付けていない3年生も含まれており、記入法を思い出すのに時間がかかる者もいる。しかし、Visco For Soccerであれば、ゲーム感覚で記入できるうえ、メンバーの記載やポジションの変更も数クリックで行える。記入法を思い出すまでもない」(松崎氏)
もっとも、そんなVisco For Soccerにも課題は見受けられるようだ。松崎氏は「ウィザード形式で入力を行うVisco For Soccerは、紙に書き込むのとは異なり、やはり記述の速さという点では劣る」という。
「ビデオを使ったリハーサルでは、入力作業に手間取り、一時停止を余儀なくされたこともあった」(松崎氏)
試合会場では、入力作業が追いつかない場合、一度紙に記録し、後でまとめてVisco For Soccerに入力するという方法で対処する場面も見受けられた。とはいえ、これも慣れの問題で、扱いが上達すれば解消されていくものだろう。
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昼休みには、Scorebook.jpの記録を携帯電話で確認しながら、注目選手を報告しあう父兄の姿も多く見かけた。Visco For Soccerは、親同士のコミュニケーションにも大きく役立っているようだ。夏休みの空いた時間にScorebook.jpを見ながら、東京都が立候補している2016年夏季オリンピックの代表選手候補を探してみるのも面白いかもしれない。