残業が遅くなると泊り込みは当然

華為は自殺事件の事後処理を内々に行ったが、ほどなく、国内の主要ネット掲示板やIT業界の関連ネット掲示板に、華為で起こった連続飛び降り自殺についての書き込みが現れた。掲示板に登場した大量の書き込みは、ほとんどがIT業界関係者によるもので、その一部は華為の在職または離職した従業員と思われる。彼らは死者に対する哀悼の意を表しつつも、次々と華為の人事制度や企業文化についての見方を書きつづった。

華為を退職したと語る人物はネット上で、「華為での日々は決して楽しい記憶ではない。華為で過した時間はまさに"窒息"そのもの。もう生きて行けないくらいの感じがした。仕事の量とか残業とかの問題ではなく、そもそも事務所全体の雰囲気が悪かった」と述懐する。

掲示板の多くの書き手が、華為の企業文化の在り方に疑いの声を上げた。華為では、従業員のデスク下に常にマットレスと布団が置かれ、残業があまりに遅くなると、多くの従業員がオフィスのフロアで泊り込むという。中国の業界では有名な「華為のマットレス文化」がこれなのだという。

勤務中の1分間の外出でも申請書が必要

さらに華為は「オオカミ文化」を推賞しているとされる。厳しい実績効果審査制度により、華為の従業員は常に自分が「淘汰」される危機感を感じながら、"オオカミのように"仕事に立ち向かうことを強いられているというのだ。

かつて、天下の一流企業である華為から採用通知を受け取りながら、最終的には就職しない道を選んだ樊楓(仮名)氏は、自分のブログで「華為の採用通知をもらったが、半分まで読んでこれではとても入社できないと思った」という。

「勤務時間に外出したければ、それがたとえ1分間でも申請書を出さねばならない。社内ネットワークで申請し、部門管理者の許可を得なければならない。コンピュータはインターネットにつなげず、光学ドライブも付いてなければUSBインタフェースもない。おまけにノルマが果たせない場合には給料を大幅にカットされる」